チップ製造ツール最大手であるオランダの「ASML」は、今年後半に半導体需要が回復する可能性があると考えていると、CNBCとFinancial Timesが報じている。ASMLのCEOであるPeter Wennink氏はCNBCのインタビューに対し、「当社の顧客の多くは、今年の下半期に回復を見込んでいると言っています」と述べている。この予測は、ハイテク業界にとって、解雇やパンデミックブーム後の消費者向け技術需要の低迷など、困難な数カ月を経た後に出されたものだ。
ASMLは、TSMCやSamsung、Intelらが、今日の最先端チップの製造に必要な極端紫外線露光(EUV)装置を生産する世界で唯一の企業であり、非常に重要な存在だ。
したがって、ASMLの装置に対する需要は、企業が考える消費者向けハイテク製品の需要が長期的にどの程度になるかを示す指標となり得るのだ。Wennink氏はCNBCに対し、ASMLの装置の平均リードタイムはおよそ1年半から2年で、「潜在的な不況の…比較的短い予想を見てみると、顧客はもちろんどんな注文もキャンセルしていない」と述べている。
「彼らは、今年の後半と2024年の好転に…備えたいのです。」と、Wennink氏はFinancial Timesに述べている。
ASMLは全体として、2023年の収益は前年比25%増になると予測しており、EUVよりは高度ではないディープリソグラフィー(DUV)装置375台と並んでEUV装置60台を生産する見込みである。
ASMLが半導体業界の重要なプレーヤーとしての地位を占めていることは、このオランダ企業が米国と中国の間の継続的な緊張に巻き込まれていることを意味している。ホワイトハウスは、中国に高度なチップ製造装置を供給しようとする米国企業に対してますます厳しい制限を課し、一方でオランダにも同様の制限を課すよう働きかけている。
Wennink氏によると、ASMLは現在、中国にEUV装置を出荷することができない。その代わり、より高度でないDUV装置を出荷しており、ASMLの2022年の売上高の約15%を中国が占めることを可能にしている。日本とオランダの両国は、今後数週間のうちに、アメリカに続いて独自のチップ製造制裁を実施する見込みであると、Financial Times紙は指摘している。
とはいえ、Wenninkの予測は、業界の共通認識ではない。例えば、MicrosoftのSatya Nadella CEOは最近、景気後退が2年程度続くと予想していると述べている。
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