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少し前にペットボトル飲料中に、想定の数倍以上も多くのプラスチックが含まれていることが明らかになったり、深海やエベレストなど、地球の極限地域においても確認されるほど、世界のプラスチック汚染は広がっている。かつてマイクロプラスチックと呼ばれていた極小片は、最近ではそれよりも小さなナノプラスチックも含み、直径100万分の1mmから1000分の1ミリほどの小さなプラスチック片をナノ ・ マイクロプラスチック粒子 (NMP : nano – and microplastic particles)と呼ぶこともあり、これらの人体への曝露による影響が研究されている。

だが、新たな研究によって、このNMPを簡単に、安価に軽減する事が示唆された。中国の広州医科大学と済南大学の研究者らによると、沸騰させてろ過することで、水道水中のナノ及びマイクロプラスチックの量を劇的に減らせる可能性があるというのだ。

『Environmental Science & Technology Letters』誌に2月28日付けで掲載された新しい研究によると、ミネラル豊富な水をたった5分間沸騰させるだけで、NMPにさらされる量を最大90%減らすことができるという。

数多くの研究で、実際の水道水サンプルにNMPが含まれている証拠が見つかっているが、飲料水からNMPを摂取することによる健康への影響はまだ不明である。初期の研究では、これらのNMPが体内に蓄積し、腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性が示唆されている。

水処理プラントが最善の努力を尽くしても、マイクロプラスチックやナノプラスチックを標準的な処理方法で水から除去するのは依然として困難である。この問題に対処できる高度な水処理技術もあるが、特に、貧しい国々では、より安価で、より利用しやすい清潔な水のためのソリューションが必要とされている。

水を沸騰させてから飲むことは、家庭の水道水を効果的に汚染除去することができる、安全で簡単な解決策かもしれない。

今回研究者らは、中国広州で複数の水道水サンプルを採取し、さまざまなレベルのNMPでサンプルを汚染した。そして各サンプルは5分間沸騰させた後、10分間冷却した。

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水道水は、カルシウムとマグネシウムのミネラルの含有量によって、「硬水」や「軟水」などに区別される。これらのミネラルは、やかんの内部に石灰岩を形成する原因にもなるため、硬水が出る地域ではやかんを頻繁にデスケーラーで処理する必要がある。

研究者らは、NMPを含む水を沸騰温度に近づけると、添加されたポリスチレンNMPがミネラルと一緒に水から共沈し始め、チョークのような残留物が生成され、これがプラスチックを捕捉されることを発見した。

この固形のカルキ状の残留物を、標準的なコーヒーフィルターやステンレスフィルターで水から分離・除去することで、NMPを水から取り除くことが出来たという。

研究チームは、硬度の高い水ほど影響が大きいことを発見した:例えば、炭酸カルシウムが300ミリグラム含まれるサンプルでは、NMPの90%近くが除去された。

炭酸カルシウムが60mg以下の軟水では、NMPの約25%が除去されたとのことだ。

研究者たちは、煮沸した水によるNMPの摂取量は、地域にもよるが、通常の水道水による摂取量の2~5分の1であると推定している。

水道水を沸騰させるべきかどうか、またいつ沸騰させるべきかについては、さらなる研究が必要である。


論文

参考文献

研究の要旨

中央集権的な水処理システムから流出する水道水中のナノ/マイクロプラスチック(NMPs)は、飲用によってヒトに健康リスクをもたらす可能性があるため、世界的な関心が高まっている。沸騰させた水を飲むことは、アジア諸国の一部で古くから行われてきた習慣であり、沸騰させることで一部の化学物質やほとんどの生物学的物質を除去できるため、人間の健康に有益であると考えられている。しかし、水道水中のNMPsを除去するのに煮沸が効果的かどうかは依然として不明である。ここでは、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンのNMPsが、煮沸によって水道水中の炭酸カルシウム(CaCO3)と共沈する証拠を示す。硬水(>120 mg L-1 of CaCO3)を沸騰させると、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンのNMPsサイズ0.1~150 μmの少なくとも80%を除去できる。高温は、NMP上のCaCO3の核形成を促進し、その結果、NMPはCaCO3インクラスタント内にカプセル化され、凝集する。この単純な沸騰水法は、家庭の水道水からNMPsを「除染」することができ、水の摂取によるNMPsの人体への摂取を無害化できる可能性がある。

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