SamsungはTSMCやIntelなど、他社に先んじてゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタ技術に基づく3nmチップを製造し、半導体製造の世界で技術的にはリードしている。この成果は、いまだにFinFETを使用しているTSMCやIntelに1世代先んじることになる。関係各社の3nm市場シェア争いがどうなるかを語るのは時期尚早だが、戦線はすでに次世代2nmプロセスに移っている。この戦いにおいて、SamsungはTSMCから市場シェアを奪うために潜在的な顧客に割引を提供することを考えているとTrendForceは報告している。こうしたSamsungの意欲は評価されるべきだが、同レポートは、特に3nm GAAプロセスにおいて、歩留まりの低さに苦しむSamsungの内情も明らかにしている。
TrendForceは、2nmにおけるSamsung、TSMC、Intelの戦いを、AIチップの需要急増が悪化させる巨大なシェア争いとして描いている。この戦いは2025年前後に行われると予想されるが、最終的にはTSMCが現在の優位性から2nmでの勝者になると予想している。これに対抗するため、SamsungはNVIDIAのような企業を再び仲間に引き込むための価格を設定する可能性がある。SamsungはTSMCの追随を許さない覇権を奪うためにディスカウントの提供を検討しているようだ。
NVIDIAがAmpereからAda Lovelaceに移行した際、Samsungが顧客をTSMCに奪われたのは有名な話だが、NVIDIAは今後のBlackwell GPUでもTSMCの3nmプロセスにを利用する事も多くの報道から示唆されている。
Qualcommも完全にTSMCへの依存に軸足を移しており、次期Snapdragon 8 Gen 4チップにTSMCの3nmプロセスを選択したと伝えられている。以前、QualcommはSamsungの最先端3nm GAAプロセスを検討したが、生産開始から1年後でも歩留まりが50%にとどまるという状況を鑑み、これを検討し直している事が報じられた。QualcommはSamsungに歩留まりを70%まで引き上げる必要を伝えたが、最終的に他に依頼することにしたと報じられている。Samsungが値下げをおこなってこれらのウェハーが安く提供されたとしても、歩留まりが向上しなければ、ほとんどメリットはないだろう。TrendForceは、SamsungがGAAプロセスを最初に採用したことで、競合他社より大きくリードしているとはいえ、既存および将来のノードに対する信頼を企業に与えるためには、歩留まりを改善する必要があるとしている。
Intelもこの戦いに参加しているが、先端ノードではライバルに大きく遅れをとっている。発表されたばかりのMeteor Lakeは、Intel 4と名付けられた〜7nmプロセスを使用している。Intelは2024年初頭にIntel 3と呼ばれる5nmノードを使ったデータセンター向け製品を発表する予定だが、TSMCは2020年に5nmチップを製造している。しかし、Intelは2024年に独自の2nmプロセスであるArrow Lakeを発表する予定だ。Arrow Lakeは同社初のGAA設計とBSPDNテクノロジーを採用した20Aプロセスを採用している。TSMCとSamsungは2025年まで2nmの分野に参入しないと予想されているため、2024年にこのプロセスの立ち上げに成功すれば、Intelは競合に1年先んじることになる。
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