Samsung は、Qualcommと提携して次期フラッグシップ・チップセット「Snapdragon 8 Gen 4」を量産するという同社に取って千載一遇の機会をTSMCに奪われた可能性が報じられている。TSMCは来年、同社の3nm「N3E」技術を利用する予定で、MediaTekなどの他社もこの製造プロセスを利用する見込みだ。
TSMCは2024年に向けて3nmプロセスを積極的に推進しており、現在はAppleがA17 ProとM3に採用した高価なN3Bノードを使用している。TSMCは来年からN3Eに移行する予定であり、歩留まりとウェハー価格の両方が改善されるため、Qualcommにとって新技術への移行は財務的なインパクトが小さくなるはずである。TrendForceによると、Samsungが3nmプロセスへの移行に保守的なアプローチをとっているため、今回Snapdragon 8 Gen 4の受注を失うことに繋がったという。
以前、QualcommはSnapdragon 8 Gen 4を量産するために、SamsungとTSMCの両方の3nm技術を活用するデュアルソース戦略に切り替えると噂されていた。これにより、チップセットの製造コストを下げることができる。残念ながら、こうした計画は実現せず、Qualcommのサプライヤーは1社のみとなった。また、Samsungの3nm GAAの歩留まりも、ビジネス関係を構築するには低すぎた可能性があり、以前の報道では、受注を確保するにはファウンドリーの歩留まりを70%まで高める必要があるとされていた。
また、Samsungの3nm技術がTSMCの技術より劣っているという問題もある。噂レベルではあるが、これはSnapdragon 8 Gen 1においてSamsung Foundryでの製造によって消費電力と発熱の問題に悩まされ、その後TSMCでの製造に切り替えられたSnapdragon 8 Plus Gen 1で見事に性能向上を果たし、性能と電力効率の両方で驚くべき違いが見られた事からもあり得ない話ではなさそうだ。Snapdragon 8 Gen 2とSnapdragon 8 Gen 3もこの傾向を引き継ぎ、評価の高い製品となっている。
Snapdragon 8 Gen 4は、Qualcommにとって、同社のカスタムOryonコアを搭載した初のスマートフォン向けSoCになると言われている。Qualcommは、AppleのAシリーズに対抗するため、2024年にArmのCPU設計から移行する予定だ。しかし、カスタムCPU設計への切り替えは、TSMCのN3Eプロセスでシリコンを大量生産することと共に、Snapdragon 8 Gen 4がSnapdragon 8 Gen 3よりも高価になることを意味し、その結果、メーカーはフラッグシップスマートフォンの利益を最大化するために、いくつかの重要な分野で妥協を余儀なくされる可能性もある。
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