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ネブラスカ大学リンカーン校の新たな研究によると、プラスチック製の食品容器を電子レンジで加熱すると、有毒なマイクロプラスチックが多量に生成されてしまうことが判明した。

同校の研究者Kazi Albab Hussain氏は、自身が新米パパになったことから、赤ちゃんの食べ物が入っている容器の安全性を調べるために、今回の研究を行ったと、研究の動機についてWiredに語っている。だが、その結果は、予想以上にショッキングなものだった。

「その頃、私はたくさんのベビーフードを購入していました」と彼はWiredに語った。

Hussain氏らは、ポリプロピレン製のベビーフード容器2つとポリエチレン製の再利用可能なパウチ (どちらも米国食品医薬品局が承認したプラスチック) を使って様々な条件下で容器を調査したところ、Hussain氏は「顕微鏡でマイクロプラスチックの量を見て恐怖を感じた」と語った。そして、電子レンジで加熱したベビーフードの容器から出る微粒子に48時間さらされた後、培養した腎臓細胞のなんと75%が死滅したという。

ちなみに、ポリエチレンベースの食品パウチは、ポリプロピレンベースのプラスチック容器よりも多くの粒子を放出したとのことだ。

近年、マイクロプラスチックが爆発的に世間に知られるようになったのは、マイクロプラスチックが海の中、土壌の中、そして私たちの体の中など、文字通りあらゆるところに存在していることが、次々と研究によって明らかになったからである。

プラスチック容器を過熱することは、何となく身体に良くないような気のするもので、驚くべき事ではないかも知れないが、今回のHussain氏の発見が注目すべきナノは、マイクロプラスチックだけではなく、それよりも更に微小なサイズである“ナノプラスチック”や溶出物と呼ばれる有害化学物質が実際に放出されるという事実だ。

私たちの腎臓は大きな粒子を濾過することができるが、はるかに小さなナノプラスチックはそうはいかない。つまり、ナノプラスチックは私たちの細胞膜をすり抜け、「本来入ってはいけない(人体の)場所に入ってしまう」と、トリニティ・カレッジ・ダブリンのJohn Boland化学教授は警告する。

「マイクロプラスチックは、粗飼料のようなものです。侵入しても排出されます。しかし、ナノプラスチックは非常に有毒である可能性が高いのです」。

この研究の著者たちは、ひとつの解決策として、粒子の放出が少ないポリマーからプラスチックを作ることを提案している。しかし、そうするためには、新しい化合物の研究開発に資金を投入する必要があり、産業界が他の環境問題や健康問題にどのように対処してきたかを考えると、積極的に取り組むことはなさそうである。

とはいえ、Husayn氏は楽観的である。

これらの製品に 「『マイクロプラスチック・フリー』や『ナノプラスチック・フリー』のラベルが貼られる日が来ることを期待しています」と、語っている。


論文

参考文献

研究の要旨

本研究では、水性食品と酸性食品の食品模擬物質として純水と3%酢酸を用い、異なる使用シナリオにおけるプラスチック容器と再利用可能な食品パウチからのマイクロプラスチックとナノプラスチックの放出を調査した。その結果、マイクロ波加熱は、冷蔵や室温保存などの他の使用シナリオに比べて、マイクロプラスチックやナノプラスチックの食品中への放出を最も多く引き起こすことが示された。いくつかの容器では、マイクロ波加熱3分以内に、わずか1平方センチメートルのプラスチック面積から422万個のマイクロプラスチックと21億1000万個のナノプラスチック粒子が放出されることがわかった。また、冷蔵や室温で6ヶ月以上保管した場合も、数百万から数十億のマイクロプラスチックやナノプラスチックを放出する可能性がある。さらに、ポリエチレンベースの食品パウチは、ポリプロピレンベースのプラスチック容器よりも多くの粒子を放出した。暴露モデリングの結果、1日の推定摂取量が最も多かったのは、電子レンジで温めた水を飲む乳児で20.3ng/kg・日、電子レンジで温めた乳製品をポリプロピレン容器から摂取する幼児で22.1ng/kg・日であることが示唆された。さらに、細胞の生存率を評価するために行われたin vitro試験では、プラスチック容器から放出された抽出マイクロプラスチックとナノプラスチックは、1000μg/mLの濃度で48時間と72時間暴露した後、それぞれ76.70%と77.18%のヒト胚性腎臓細胞(HEK293T)を死滅させることが示された。

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