米国政府は、中国に対して厳しい輸出規制を課し、中国のハイテク企業が最先端チップやウェハー製造装置を入手できないように努めているが、こうした制限にもかかわらず、中国企業はさまざまな抜け穴を利用し、本来入手出来ないはずのツールを入手している事が、米中経済安全保障審査委員会の報告書で明らかになった。先日明らかになったSMICによるHuawei向け7nmチップの大量生産は、米国による経済制裁の限界を明らかにする物であろう。
米政権が2023年10月に発動した措置は、中国の人工知能、高性能コンピューティング、半導体部門全般に顕著な影響を与えたが、抜け穴と中国の適応戦略がその全体的な効果を損なっている、とThe Registerは報じている。
昨年制定された中国輸出規制は、14nm/16nmノード以下の非平面トランジスタ・ロジック・チップ、128層以上の3D NAND、ハーフピッチ18nm以下のDRAMメモリー・チップの製造に使用される装置や技術を販売する際、米国企業や個人にライセンス取得を義務付けている。これらの規制は、米国産部品を輸出する外国企業にも適用される。
しかし、規制されていない28nmチップの製造に使用されるツールは、5nmノードの製造にも使用することができる。ウェハー製造装置メーカーも米国政府も、これらのツールがどのように使用されるかを管理することはできない。
米国商務省産業安全保障局は「14nmの制限を使用しているため、輸入業者は古い生産ラインで使用されていると主張すれば装置を購入できることが多く、最終用途の検査能力が限られているため、装置がより高度なチップの生産に使用されていないことを確認するのは難しい」と報告書で述べている。
報告書は、多くの重大な施行上の課題と抜け穴について概説している。例えば、中国のチップメーカーが、禁止措置の趣旨を回避して、対象となる技術ノードにわずかに及ばないチップを製造するためのツールをどのように入手しているかを示している。彼らはまだ、かなり高度なツールを工場に装備し、規制されているものに近いチップを生産することができる。
中国企業が先進的なチップを生産し続けることができたもうひとつの方法は、販売が規制される前に米国以外の国からツールを調達することが出来たからだ。中国企業は、米国が最初に規制を課してから約1年間、オランダや日本の企業から先進的なツールを購入することができた。
報告書は、規制を効果的な物にする唯一の方法は、グローバルサプライチェーンの他の主要プレーヤーが協力することであり、すぐに行動を起こさない場合、中国には、深紫外(DUV)リソグラフィ装置の場合のように、禁止された装置を備蓄する時間があると述べている。
Sources
- 2023 Report to Congress [PDF]
- via The Register: Banned US chipmaking equipment still ending up in China, says report
コメントを残す