Appleは今年後半に新たな14インチ及び16インチMacBook Pro向けのM2 Pro/M2 MaxチップをTSMCの3nmプロセスで製造すると言われているが、iPhone向けチップの3nm向けチップの移行はまだ先の話になる。そして、最新のレポートによると、Appleは2024年までTSMCの3nmアーキテクチャに完全に移行しない見込みで、以前の予想よりも移行が長引くことになるようだ
Appleは、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxに、強力で電力効率の高いバージョン、最高峰のTSMCの3nmプロセスを使用する可能性
TSMCの3nmプロセスの拡張計画は、どうやらIntelの2023年発売とされる、次世代CPU「Meteor Lake」の設計の遅れによって変更を余儀なくされたとのことだ。本来であれば、2023年には大量生産が始まる予定だったTSMCの3nmプロセスのラインにキャンセルが入ったことで、TSMCとしては生産ラインがアイドル状態になる事を危惧し、拡張計画を遅らせることに決定したとのこと。これがAppleの今後の製品計画にも影響を与えることになった。
Appleは、今年TSMCの4nmアーキテクチャで量産されるとされる新たなA16 Bionicチップを投入するとされているが、このチップはプレミアムモデルのiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxにのみ搭載されると言われている。ベーシックモデルのiPhone 14とiPhone 14 Maxには、現行モデルのiPhone 13シリーズに搭載されているA15 Bionicが搭載されると言われている。これは、4nm A16 Bionicの生産コストが高額になっているため、ベーシックモデルの価格上昇を抑えるためというのもあるが、AppleとしてはProモデルの更なる差別化を推し進めたいとの考えもあるようだ。
TrendForceの報告によると、Appleは2024年のiPhone 16シリーズでTSMCの3nmプロセスに完全に切り替えるとのことだ。そして、それまではAシリーズチップについても、一部のモデルで3nmプロセスの採用になるとのことで、そうした場合、恐らく来年のiPhone 15シリーズにもiPhone 14シリーズ同様に、ベーシックモデルとProモデルで大きな差別化が図られる可能性がありそうだ。つまり、2023年に登場するiPhone 15シリーズでは、高価なProモデルは、おそらく3nmのA17 Bionicを搭載し、一方、ベーシックなiPhone 15は、2022年に登場するiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxに搭載される物と同じ、TSMCの4nmプロセスで製造されるA16 Bionicを搭載する可能性がある。
繰り返すと、AppleがTSMCの3nmプロセスに完全に移行するのは2024年以降になるとTrendForceは予想しているが、TSMCの3nmプロセスには複数のバリエーションが存在し、それぞれが省電力性能やパフォーマンス、トランジスタ密度などが異なってくる。iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro MaxはTSMCが提供する最高のものを搭載し、通常のiPhone 16モデルは3nmプロセスの中でも効率の悪いバージョンに留まる可能性もありそうだ。
とはいえ、それはすべてTSMCが出荷要件を満たせるかどうかにかかっている。TSMCは次世代チップを求める顧客を複数抱えているため、Appleのために一度に大量の注文をこなすのは難しいかもしれない。とはいえ、数年後にはどうなっているかはまだ予想も出来ない。まずは最初のTSMC 3nmプロセスチップであるM2 Pro/M2 Maxの性能がどうなるかだ。
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