米国下院外交委員会の議長である共和党のMichael McCaul委員長は、中国への重要技術の輸出に関してより厳格な制限を求める報告書を発表した。この報告書では、米国商務省産業安全保障局(BIS)が米国の技術を中国共産党が支配する企業に事実上制限なく流出させ、中国が技術的、経済的、軍事的な超大国として急速に台頭するのを助けていると結論付けた。
McCaul委員長は、「もはや真実から目を背けることはできない:アメリカの技術が中国に無制限に移転されることは、中国が世界の主要な科学技術大国の一つとして台頭する最大の要因の一つである」と述べた。「今こそ、この問題を解決する時であり、その重要性は計り知れない。アメリカ合衆国は、これらの新興技術分野で何としても勝利する必要があり、イノベーションに投資し、中国が重要なアメリカの技術にアクセスするのを遅らせ、阻止する必要がある」とも付け加えた。
報告書は、商務省産業安全保障局(BIS)が、国家安全保障よりもビジネスと商業を優先していると非難し、米国の技術が中国共産党の軍民融合を支える流れを作っていると指摘している。委員会は、軍事に役立つ可能性のあるあらゆる項目が人民解放軍の手に渡ると想定し、国家安全保障上の理由で管理されているすべての項目の中国へのアクセスを拒否すべきだと提案している。
また、国家安全保障機関がライセンス承認に関する意見を述べる機会を持つことや、BISの追加の作業と監視に必要な費用を賄うためのライセンス料を提案している。
報告書によると、BISは現在、輸出管理製品が中国に到達するためのライセンス申請のほとんどを承認している。2022年1月から3月の間に、BISは中国企業向けの申請のうち8%しか拒否していない。重大な制裁を受けている中国企業、例えばHuaweiや半導体メーカーのSMICへの輸出申請も承認されており、2020年11月から2021年4月の間にHuaweiには600億ドル、SMICには400億ドルの機器が届けられている。
加えて、議員らは中国側が申請したとおりに米国の技術を使用する保証はなく、信用できないと主張もしている。これについては、中国がこれまで何度も国際協定を平気で無視する姿を見せつけられていた日本人ならば納得行く話だろう。
報告書は、技術移転とBISの制限に関する90日間のレビューを表している。報告書によると、中国は、米国の監視下にある44の重要技術カテゴリーのうち37で開発をリードしており、数百億ドルを投資し、「より攻撃的な技術移転体制を構築している」とされている。
加えて、「中国は毎年約6000億ドル相当のアメリカの知的財産を盗んでいる」と主張し、2017年に国立アジア研究局が発表した論文を引用している。
しかし、技術移転が続いているにもかかわらず、輸出禁止措置が中国のビジネスや経済に大きな影響を与えている証拠もある。ライセンスのわずか8%しか拒否されていないにもかかわらず、Huaweiは2023年第1四半期の利益が前年同期比で46%減少し、収益は過去3年間ほぼ横ばいである事も報告されている。
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