台湾の報道機関「聯合報(UDN)」によると、台湾半導体製造会社(TSMC)が、2022年8月にも3nmプロセスの派生形の1つ「N3B」プロセスを用いた量産を新竹科学園区と南部科学園区にて開始する可能性があるとのことだ。
TSMCは、現在、3nmノードへのアップグレードを進めているところであるが、移行に際して、TSMCが生産効率に苦慮しているとのいくつかの報道・噂があり、市場に懸念を抱かせていた。過去には3nmへの移行は順調に行われる可能性があると言う報道もあったが、今回更に、3nmへの移行が順調に進んでいるとする報告が加わった形だ。
TSMCは、この3nmプロセスファミリの異なる技術を「N3」のタグで呼んでおり、これまでのところ、「N3B」と「N3E」の2つのバリエーションが生産ラインに向かうと考えられている。そして今回、N3Bでの量産が8月に開始されるとのことだ。
TSMCのサプライチェーン関係者からの情報によると、N3Bの月産能力は新竹のFab12B Phase8(8棟目)が1~2万枚(300mmウェハ)、南部のFab18B Phase5で同1万5000枚がそれぞれ計画されているとのことだ。噂では新竹のファブでは、Intel向けを、南部のファブでは、AppleのノートPCやiPad向け次世代プロセッサの生産が主に行われる模様だという。TSMCが台湾の北と南の地域で同時に同一プロセス技術を用いて製造する初めてのケースとなるそうだ。
そしてTSMCは来年、3nmプロセスの派生形である「N3E」での量産を開始する予定であるが、量産が加速することを示唆している。最初の製品はApple向けに出荷が行われる模様だ。またAppleのほか、QualcommやIntelもN3Eプロセスの顧客であるといわれている。この「N3E」は3nmプロセスの第2世代であり、「N3B」ノードの後に導入される見込みだ。
3nmプロセスでボトルネックが発生したことを認めつつも、これらはプロセスの改善過程で恩恵を受けたとUDNは報じている。特に、3nmを改善するために行った研究開発が、2nmプロセスとの相乗効果を生んでいるという。TSMCの3nmノードでは、従来のFinFETトランジスタの設計が採用されるが、2nmノードでは、GAA FETと呼ばれる新しい設計が採用される予定である。
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