英国・ロンドンを拠点とするスタートアップ「Satellite Vu」は、気候変動の影響にグローバルに対処するための新しい衛星HotSat-1を打ち上げた。同社によると、この衛星は“人類初の空に浮かぶ温度計”であるとのことだ。
「私たちは、空に浮かぶ最初の温度計を紹介します。Satellite Vuは、地球上のあらゆる建物の熱出力を測定できる8つの衛星からなるコンステレーションを立ち上げます」と、Satellite VuのCEO Anthony Baker氏は述べている。
BBCによると、HotSat-1は、高度500kmを飛行しながら、個々の屋根や壁を認識出来るほどのこれまでにない高い解像度を持っているとのことだ。赤外線センサーは、イギリスとヨーロッパの宇宙機関の資金で開発された。
気候変動への対応
この発明は、英国の伝統的な住宅を改修すれば、家庭の燃料費を節約できる可能性を示す物でもある。
英国では、2050年までにネットゼロを実現するというコミットメントのもと、1970年以前に建設された住宅が圧倒的に多いという非効率な住宅ストックのため、プロセスを加速させるためのインフラ整備を実施している。
Baker氏は、気候変動を即座に止める必要性を強調している。
彼は、「最悪の建物、最悪のエネルギー漏れ、海の汚染、太陽電池の故障などに人々を誘導し、是正措置を取れるように、影響を測定できる機器がここにあります」と述べている。
さらにBaker氏は、都市全体のデータにアクセスすることで、同社は最悪の20%の建物を迅速に表示することができ、それに応じて物件のアップグレードを促進することができると付け加えている。
この衛星は、商業施設の大型駐車場など、都市のヒートアイランド現象を悪化させる建造物やオープンスペースを特定する機能を備えている。
このような住居は、町や都市の気温を大幅に上昇させる可能性があるのだ。
気温上昇の原因となっている構造物を特定することで、プランナーは、どこに木を植えて環境を冷やすのが最適かを知ることができる、とBBCは述べている。
科学的モニタリング
世界の気温が絶えず上昇する中、NASAは2022年に応用リモートセンシング訓練プログラム(ARSET)を実施し、熱波の影響を緩和し、都市住民の健康リスクを低減するための熱脆弱性指標を構築した。
このトレーニングでは、衛星からのリモートセンシングと熱マッピングの重要性が強調された。その目的は、”都市部のヒートアイランド(UHI)の影響を経時的に監視し、地表温度(LST)をそれぞれ監視するために、グローバルでタイムリーかつ客観的な観測を提供すること”だった。
NASAは、「UHIのマッピングにより、人口、人口統計、健康情報に係る社会経済データを熱脆弱性指標(HVI)に組み込むことで、公衆衛生に対する熱関連リスクを管理するための介入策を導くことができる」と述べている。
HotSat-1は、汚染監視にも役立ち、例えば川の水の温度の急激な変化を検出することができるとのことだ。
この革新的なセンサーは、ロンドンのイーリング地区上空を飛行する航空機でテストされ、そのデータはイギリスの国立地図機関であるオードナンスサーベイ(OS)によって監視された。
OSは、衛星のデータにいち早くアクセスすることが出来る。OSのDonna Lyndsay氏は、「OSは、このデータを我々の情報と組み合わせて、我々の顧客でテストする」と述べた。
HotSat-1は、SpaceXのFalcon-9ロケットによって、6月12日午後4時11分に打ち上げられた。
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