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培養肉の風味を改善する“培養脂肪”の製造に成功

研究所で培養された肉は、本物に代わる大変優れた選択肢となり得る。しかし、培養肉には大きな問題がある。それが“風味”と“食感”だ。これは、食した際の満足度に大きく貢献する要素だが、大量の脂肪を培養することは、これまでは困難だった。だが、研究者たちは解決策を見つけたようだ。

血管が脂肪に酸素や栄養を送り込む自然界とは異なり、実験室で作られた脂肪は、大きくなればなるほどこれらの重要な要素が不足しがちになる。

そこで、研究者らは、そこで、マウスやブタの脂肪細胞を2次元的に成長させた後、その細胞を採取し、アルギン酸ナトリウムや微生物由来のトランスグルタミナーゼ(mTG)など、すでに一部の食品に使用されている結合剤で3次元の塊を作り、それをつなぎ合わせた。また、接着剤としてアルギン酸ナトリウムを加えた細胞培養脂肪では、家畜や家禽の脂肪と同等の圧力に耐えることが出来る事も判明した。

「培養脂肪細胞を結合剤で凝集させるこの方法は、培養肉の開発において重要な障害となっているバイオリアクターでの培養脂肪組織の大規模生産に転用できます」と、筆頭著者でタフツ大学バイオメディカル工学部スターンファミリー教授、TUCCAディレクターのDavid Kaplan氏は声明の中で述べている。

また、研究チームは、調理中に放出される培養脂肪からの分子の組成を調べた。その結果、マウスの培養脂肪からの脂肪酸のミックスは、天然のマウス脂肪と異なっていたが、豚から培養した脂肪は、天然の組織に近い脂肪酸プロファイルを持っていることが分かった。この研究は、細胞培養肉の開発における重要な障壁の1つである大規模な細胞培養脂肪組織の生産に、新たな方法を提供することになる。また、研究者たちは、本物の肉に似た見た目、味、食感を実現するために、細胞培養肉生産のあらゆる側面に目を向けている。

「私たちの目標は、バルク脂肪を製造する比較的簡単な方法を開発することでした」と、本研究の主執筆者であるJohn Yuen Jr氏は述べている。「脂肪組織は細胞が主体で他の構造成分が少ないため、成長後に細胞を凝集させれば、天然の動物性脂肪の味、栄養、食感プロファイルを十分に再現できると考えました」

この研究は、肉製品の需要が高まり、肉産業が環境や動物福祉に対する負荷が高いことを考慮すると、未来の肉の生産に向けた重要な一歩となるだろう。この技術の進展により、肉製品の需要に対する生産量を増やすことができるだけでなく、肉生産に伴う環境負荷を軽減することが期待されり。また、この技術により、食物アレルギーを持つ人々やベジタリアン、ヴィーガンなどの様々な食生活を送る人々が、肉の代替品をより簡単に手に入れることができるようになるかも知れない。この研究の成果は、今後の細胞培養肉の開発に向けた展望を広げ、世界中の人々にとって、より持続可能で、健康的で、倫理的な食生活を実現するための重要な一歩となるだろう。


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