Sonyは、視覚障害者の方の写真撮影を支援する、「DSC-HX99 RNV」を3月24日に発売する。DSC-HX99 RNVは、網膜投影カメラキットとして知られ、網膜に直接画像を投影することによって視覚障害者の方が周りの景色を見たり、写真や動画を撮影することを可能にする物だ。
「DSC-HX99 RNV」の核となるのは、Sonyが世界最小のコンパクトカメラとして2019年に発売した「サイバーショット DSC-HX99」だ。光学式と電子式の手ぶれ補正、30倍の高倍率ズームレンズ、4K動画撮影が特徴となる。しかし、日本の量子ドットレーザー企業であるQDレーザーのRetissa Neoviewerと組み合わせることで、網膜への画像投影が可能となった。
QDレーザーは、2020年12月から「With My Eyes」というプロジェクトに取り組んでいた。このプロジェクトは、何らかの視覚障害を経験する可能性のある世界中の人々のために、「『見えにくい』を『見える』に変える」ことを目指している。2022年3月、Sonyは「With My Eyes」を資金面や機材提供で支援し始め、最終的に当時「RETISSA Supercapture」と呼ばれていたものが誕生した。その後、両社でファインダーの改良を重ね、最終的に「Retissa Neoviewer」という名称に変更した。
Retissa Neoviewerは、低消費電力のRGB半導体レーザーを用いて、DSC-HX99の画像をユーザーの網膜上に投影する。水平画角60度、リフレッシュレート60Hz、解像度720pの映像は、遠視、近視、乱視の方にとって煩わしいピント合わせを不要にする。
Cybershot DSC-HX99は通常80,000円程度だ。Sonyはこの夏、DSC-HX99 RNVを109,800円で台数限定販売する予定で、同社がRetissa Neoviewerのコストの大半をカバーするとしている。これが、写真市場において、アクセシビリティを重視した機器の足がかりとなることを期待したい。
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