クライアントSSD需要の鈍化により、2025年まで成長率の低迷が続く見込み

masapoco
投稿日 2022年12月29日 19:35
Figure 2. SK hynix Develops Worlds Highest 238 Layer 4D NAND Flash

新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期には、在宅勤務や在宅ワークの普及に伴うPC需要の増加により、クライアントSSDの販売も増加した。これが過去2年間のNANDフラッシュ市場のビット成長率を牽引してきたわけだが、TrendForceの調査によると、ノートPCにおけるクライアントSSDのPC装着率が2022年には92%、2023年には96%程度になるとのことで、昨今の世界経済の低迷もあいまって、クライアントSSD需要の大きな鈍化が予想されるとのことだ。

そのため、TrendForceは、2022年から2025年にかけて、NAND型フラッシュメモリのビット需要の前年比成長率が30%未満になると予測している。

クライアントSSDの平均NANDフラッシュ容量は既に500GBを越えているが、平均NANDフラッシュ容量の伸びは今後限定的になると見られている。その理由としては、特にノートPC用SSDについては、Windows OSのライセンス料がデバイスのスペックによって価格が異なり、SSDの容量が増えるとノートパソコン全体の価格も上がってしまう事から、PCメーカーが1TB SSDの採用が消極的である事が要因のようだ。

ちなみに、ノートPC向けの低容量ストレージに関して、Microsoftは128GBのストレージを搭載するエントリーレベルのノートPCについて、UFSを採用するように働きかけているようだが、最近のSSD価格の急落によって、UFSとの価格差が小さくなっていること、UFS3.1をネイティブにサポートするCPUが存在しないことから、PCのOEMはUFSの採用には消極的なようだ。今後、SSDに対する明確な価格優位性が生じ、CPUプラットフォームがネイティブサポートを行う様になった際に、改めてUFSの採用が進むと思われる。

クライアントSSDの低いに需要に引き換え、エンタープライズSSDは堅調な需要により、ビット需要の成長率を牽引する役割を果たすと見られている。

TrendForceでは、クライアントSSDに関連するNANDフラッシュ需要のビットが2022年に前年比4.3%増、2023年に同11.6%増と予測している。また、クライアント向けSSDの平均NANDフラッシュ容量の前年比成長率を見ると、2022年は18.2%に達し、2023年は9.6%に縮小すると予測している。最終的には、エンタープライズSSDがクライアントSSDに代わって、世界のNANDフラッシュメモリ市場のビット需要成長の主要なドライバーになると思われる。


Source



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • TSMC FAB18
    次の記事

    TSMC、Fab 18においてセレモニーを開催、3nmプロセスの量産開始へ

    2022年12月29日 20:04
  • 前の記事

    女性の健康に特化したスマートリング「Evie」が発表

    2022年12月29日 12:43
    Movano Evie Smart Rings

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • gen5 ssd 20240326 1

    MSI、読み込み14.6GB/秒、書き込み12.7GB/秒のPCIe 5.0 SSD「Spatium M580 Frozr」を発表

  • InnoGritt SSD Controller 1

    中国製RISC-V PCIe 5.0 SSDコントローラがファンレスで最大14.2GB/秒を実現

  • pi number

    円周率計算の世界記録が更新、小数点以下105兆桁までが求められる

  • NVMe M.2 SSD

    NANDの減産がSSDの価格上昇に繋がり、2023年第4四半期のメーカーの収益が25%増加

  • crucial t705

    Crucial、読み取り14.5GB/秒の爆速PCIe 5.0 SSD「T705」を発表

今読まれている記事