新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期には、在宅勤務や在宅ワークの普及に伴うPC需要の増加により、クライアントSSDの販売も増加した。これが過去2年間のNANDフラッシュ市場のビット成長率を牽引してきたわけだが、TrendForceの調査によると、ノートPCにおけるクライアントSSDのPC装着率が2022年には92%、2023年には96%程度になるとのことで、昨今の世界経済の低迷もあいまって、クライアントSSD需要の大きな鈍化が予想されるとのことだ。
そのため、TrendForceは、2022年から2025年にかけて、NAND型フラッシュメモリのビット需要の前年比成長率が30%未満になると予測している。
クライアントSSDの平均NANDフラッシュ容量は既に500GBを越えているが、平均NANDフラッシュ容量の伸びは今後限定的になると見られている。その理由としては、特にノートPC用SSDについては、Windows OSのライセンス料がデバイスのスペックによって価格が異なり、SSDの容量が増えるとノートパソコン全体の価格も上がってしまう事から、PCメーカーが1TB SSDの採用が消極的である事が要因のようだ。
ちなみに、ノートPC向けの低容量ストレージに関して、Microsoftは128GBのストレージを搭載するエントリーレベルのノートPCについて、UFSを採用するように働きかけているようだが、最近のSSD価格の急落によって、UFSとの価格差が小さくなっていること、UFS3.1をネイティブにサポートするCPUが存在しないことから、PCのOEMはUFSの採用には消極的なようだ。今後、SSDに対する明確な価格優位性が生じ、CPUプラットフォームがネイティブサポートを行う様になった際に、改めてUFSの採用が進むと思われる。
クライアントSSDの低いに需要に引き換え、エンタープライズSSDは堅調な需要により、ビット需要の成長率を牽引する役割を果たすと見られている。
TrendForceでは、クライアントSSDに関連するNANDフラッシュ需要のビットが2022年に前年比4.3%増、2023年に同11.6%増と予測している。また、クライアント向けSSDの平均NANDフラッシュ容量の前年比成長率を見ると、2022年は18.2%に達し、2023年は9.6%に縮小すると予測している。最終的には、エンタープライズSSDがクライアントSSDに代わって、世界のNANDフラッシュメモリ市場のビット需要成長の主要なドライバーになると思われる。
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