市場調査会社のGartnerの新たな報告では、2023年の世界半導体市場の売上高は、2022年比11.1%減の5330億ドルに減少した事が報告されている。注目すべきはIntelが韓国企業Samsungから市場1位の座を奪い返した事、NVIDIAの大躍進だ。
2023年に見られた例年との大きな違いのひとつは、生成AIの人気が大幅に高まったことだ。NVIDIAは、生成AIのアプリケーションを処理するサーバー用AIチップを販売しているため、前年比56%増の150億ドル以上の収益を上げ、半導体ベンダー上位5社に初めてランクインした。
2023年 順位 | 2022年 順位 | ベンダー | 2023年 収益 | 2023年 市場シェア (%) | 2022年 収益 | 成長率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | Intel | 48.664 | 9.1 | 58.436 | -16.7 |
2 | 1 | Samsung Electronics | 39.905 | 7.5 | 63.823 | -37.5 |
3 | 3 | Qualcomm | 29.015 | 5.4 | 34.780 | -16.6 |
4 | 6 | Broadcom | 25.585 | 4.8 | 23.868 | 7.2 |
5 | 12 | NVIDIA | 23.983 | 4.5 | 15.331 | 56.4 |
6 | 4 | SK Hynix | 22.756 | 4.3 | 33.505 | -32.1 |
7 | 7 | AMD | 22.305 | 4.2 | 23.620 | -5.6 |
8 | 11 | STMicroelectronics | 17.057 | 3.2 | 15.842 | 7.7 |
9 | 9 | Apple | 17.050 | 3.2 | 18.099 | -5.8 |
10 | 8 | Texas Instruments | 16.537 | 3.1 | 18.844 | -12.2 |
その他(10位圏外) | 268.853 | 50.7 | 294.729 | -8.8 | ||
Total Market | 533.025 | 100.0 | 599.562 | -11.1 |
もう1つの注目すべき企業はSTMicroelectronicsで、売上高で順位を3つ上げて8位となった。2023年、同社の売上高は、自動車分野での強力な地位により7.7%増加した。
全体像を見ると、Garterは2023年の世界半導体売上高が5,330億ドルになると指摘している。同社副社長アナリストのAlan Priestley氏は、昨年比11%減は業界の循環的な性質の証拠であると述べた。Priestley氏はまた、2023年は “困難な年”であり、”メモリの売上高は史上最悪の数十年の一つを記録した”と強調した。
メモリに関しては、大手メーカーは昨年中、需給をコントロールし、下がりすぎた価格を上昇基調に載せるためにあえて減産を始めていた。この戦略はSamsungとSK hynixの両社に大きな打撃を与えたようで、両社はそれぞれ37.5%、32.1%の減収となった。
Gartner社は、メモリメーカーが直面した問題の概要を提供している。最大のメモリ市場のいくつかでは需要が減少し、その結果、2023年のメモリ収益は全体で37%減少した。メモリ・ビジネスに関与していない半導体メーカーは、平均でわずか3%の減収にとどまり、はるかに良い結果となった。
Intelは首位に立ったものの、売上高は2022年の584億3,000万ドルから2023年には486億6,000万ドルに減少した。首位を奪還したのは、Samsungが37.5%の大幅減収を記録したためである。2022年にメモリー事業からの撤退を終えたIntelは、恩恵を受けた企業のひとつだ。年間売上高は16.7%減となったが、それでも昨年首位だったSamsungを大きく上回った。
半導体市場が減収となったことは、インフレの水準や、信用を割高にする金利の上昇を考えれば驚くことではない。2024年か2025年に金利が引き下げられれば、半導体市場は再び成長を取り戻すだろう。
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