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国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、月探査用スマートランダー(SLIM)の月面着陸の結果について、その成果を発表した。記者会見でJAXAの研究者らは、SLIMは1月19日に試みた月面着陸において、選択した着陸地点の100メートル以内での着陸という当初の目標通り、目標着地地点から東側に55m程度の位置に着陸するという、“ピンポイント着陸”を達成したと述べた。

ただし、SLIMの着陸時の姿勢等が計画通りではなかったことから、太陽電池からの電力発生は見込まれず、地上からのコマンドにより探査機の電源をオフにしたとのことだ。

「ムーンスナイパー(月の狙撃手)」というニックネームが付いているSLIMは、目標地点から数kmの着陸精度だったこれまでの探査機と比較して、大きな進歩を遂げている。

JAXAによれば、今回の着陸は、SLIMが使用するビジョンベースのナビゲーションの検証に役立ち、将来の月面探査の強力なツールになる可能性があるという。「10メートル以下、おそらく3〜4メートル以内の精度を達成できたことは、将来の月探査にとって極めて重要な成果です」とSLIMのプロジェクトマネージャーを務める坂井真一郎氏は語る。

着陸直前に探査機から放出された野球ボール大のロボット探査機「月探査機2号」(SORA-Q)が撮影したSLIMの画像から、この正確な着陸を達成するために、SLIMが90度回転して降りてきたことが明らかになった。

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LEV-2「SORA-Q」が撮影・送信した月面画像 (Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)

JAXAの説明では、「高度50m付近で、何らかの異常が発生し、結果としてメインエンジン2基のうち1基を喪失した」事が大きな原因のようだ。SLIMは1基のエンジンを用いてゆっくりと東に移動しながら緩降下を続け、高度5m付近で小型プローブ(LEV-1とLEV-2(SORAQ))を分離、月面に送り届けることを達成した後、仕様範囲より低い降下速度で接地したが、降下速度以外の接地条件が仕様範囲を超えていたため、傾いた姿勢で着陸したと考えられるとのことだ。

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(Credit: JAXA)

エンジンに不具合の原因については、「外的要因」の結果であるとしており、月面に横たわるエンジンノズルをカメラが捉えた事を報告している。チームはこの故障の原因を分析し続けている。

今回の不具合がなければ更に着陸精度は高かったことが想定され、その場合は目標地点から1.5~2.5m程度という超高精度だった可能性があるとの事だ。

SORA-Qの画像からは、位置がずれたためにSLIMは月のクレーターの傾斜した尾根に着陸したことがわかる。この傾斜により、探査機の機首は西側に転倒したようだ。

現時点では太陽光発電は望めないが、月の太陽光の入射方向が変われば、この状況も変わるだろうとJAXAは期待している。だが、2月1日に夜が訪れた場合、その夜を生きぬ事はできないと言う。

SLIMの着陸成功により、日本はロシア(当時ソ連)、アメリカ、中国、インドに次いで5番目の月面着陸成功国となった。

アポロ計画以来、数十年ぶりに有人クルーを月面に帰還させようとする国がいくつかある中、月面への精密着陸への関心が高まっている。水の氷やその他の資源が豊富にあると考えられている場所の近くに着陸することは、月面で持続可能な人類の存在を確立するための鍵となる。アメリカはアルテミス3号で2026年までにクルーたちを月面に着陸させることを目指しており、中国は10年以内の有人月面着陸を目指している。


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