バックアップとクラウドストレージの企業であるBackblazeは、同社のデータセンターにおけるソリッドステートストレージドライブと従来の回転式ハードディスクの長期信頼性を比較したデータを公開した。同レポートによると、経年劣化に伴う故障の割合は、HDDに比べてSSDがはるかに低い事が分かった。
Backblazeはもう何年も前からドライブの故障統計(および関連する解説)を発表しており、特にHDDに特化したレポートでは、ほとんどの主要メーカーのデータストレージと起動ドライブの数万台の挙動を観察している。このレポートは十分に包括的であるため、どの企業が最も信頼性の高い(そして最も低い)ドライブを製造しているか、少なくともある程度の結論を導き出すことができ、非常に有用性の高い物だ。
ただし、SSDに関しては、HDDの使用データに比べて、まだ採用してから日が浅い事もあり(とは言っても、既に4年は経っているが)また、Crucial、Seagate、Dellの2.5インチ・ドライブが中心で、Western Digital/SanDiskのデータはほとんどなく、Samsung製SSDのデータも含まれない。このため、このSSDのデータは企業間の相対的な信頼性を比較するのにはあまり役立に立たないが、SSDとHDDという、構造の違いによる全体的な信頼性を比較するのには有効なデータと言える。
現在、Backblazeは、SSDをデータストレージとしてではなく、サーバーのブートドライブとして使用しており、今回のレポートは、ブートドライブとして使われたSSDと、同じくブートドライブとして使用されていたHDDを比較したものだ。同社によると、これらのドライブは起動に加えて、ログ、一時ファイル、SMART統計などのデータの保存を処理しているとのことだ。
最初の4年間は、SSDの方がHDDよりも故障率が低いが、1年目は故障が少なく、2年目に急増し、3年目にわずかに減少し、4年目にさらに増加するという、基本的に同じようなカーブを描いている。しかし、5年目に入ると、HDDの故障率は急速に上昇し始め、4年目の1.83%から5年目には3.55%に跳ね上がっています。一方、BackblazeのSSDは、前年とほぼ同じ1%の割合で故障が続いている。
HDDとSSDであるとの信頼性の差や、HDDがSSDよりも早く故障し始めるという事実は、その構造を考えてみれば直感的に理解できるものだ。他の条件が同じであれば、可動部品の多いドライブは、可動部品のないドライブよりも故障する確率が上がるのは当然と言える。しかし、数千台のドライブを数年間使用したデータで、実際にこういった事実が証明されるのは大いに意味のあることだ。
このレポートを作成した、Backblazeのクラウドストレージエバンジェリストである Andy Klein氏は、SSDが「壁に突き当たり」、NANDフラッシュチップが摩耗するにつれて、より高い割合で故障し始める可能性があると推測している。もしそうなら、より多くのNANDを搭載したドライブはより高い書き込み耐性を持っているため、低容量のドライブは高容量のドライブよりも高い割合で故障し始めることがわかる。また、これらのドライブはすべて同じような作業を行っているため、同じ時期に故障が発生する可能性がある。数ギガバイトの大容量ファイルを常に作成、編集、移動しているホーム・ユーザの場合、Backblazeの使用シナリオよりもドライブの消耗が早くなる可能性がある。
実際のデータはBackblazeのサイトからダウンロード可能だ。
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