EUV(極端紫外線)リソグラフィーは、現代の半導体製造に不可欠な要素だが、1分間に約600リットルという大量の水素を消費する点が問題だった。研究者らは、新しいプロセスにより、この水素の約70~80%を回収することができるようになったことを報告している。
英国に本社を置く真空システム会社Edwards社のエンジニアは、EUVリソグラフィーに伴う水素の浪費を抑える方法を発見した。水素は、プロセス中の汚染物質を一掃するためにシステム内で使用され、プロセスの最後に水を作るためにそのすべてが燃焼される。
ガスには汚染物質が多く含まれているため、再利用することは出来ない。“燃料電池を逆にした”ようなEdwardsの水素回収システムにより、メーカーは水素をきれいにし、再利用することができるようになった。このシステムは、汚れた水素、水分、窒素の混合物を押し出してイオン化し、その混合物をプロトン交換膜に押し込むことで動作する。
混合物が膜を通過した後、水素は再結合し、残留する水分を除去するために洗浄される。汚染物質はシステム内に残り、後で使用するためにクリアにすることができる。これにより、半導体製造に伴う環境負荷の一部を抑制することができるのだ。
この発見は、多くのチップ製造装置が二酸化炭素排出量の削減を希望している時に行われた。 昨年末、Intel、GlobalFoundries、Micron、Samsung、TSMCなどが、「半導体気候コンソーシアム」というコンソーシアムを設立した。この事業は、サプライチェーン全体の排出量を削減することを目的としており、多くの企業が協力して取り組んでいる。
半導体産業は、世界の排出量の約3%を占めると言われており、ネットゼロを目指す企業にとっては格好のターゲットだ。このプロセスをより環境に優しいものにする技術の台頭により、Edwardsの水素回収は、生態系全体にとって一歩前進する結果となりそうだ。
Sources
- IEEE Spectrum: The Semiconductor Industry’s Most Important Tool Goes Green
コメントを残す