中国は、中国国防科技大学が開発した「天河2号」スーパーコンピュータによって、2015年まで世界一位の座を維持していたが、その後は新たなスーパーコンピュータを披露することはなく、それ故TOP 500ランキングに新型の名前が登場する事はなかった。だが今回中国が突如発表した新たなスパコンは、中国が着実にスーパーコンピューティング開発において進歩を遂げていることを見せつけるものであり、一気にエクサスケールの壁を破る可能性があるようだ。
国営通信社の新華社が報じたところによると、この新しいスーパーコンピューターの名前は「天河新義」(Tianhe Xingyi)とのことだ。newsgdの最近の発表によると、新しい天河新義システムは「国産の先進的なコンピューティング・アーキテクチャ、高性能マルチコア・プロセッサー、高速相互接続ネットワーク、大規模ストレージ」を搭載しており、「一般的なCPUの計算能力、ネットワーク能力、ストレージ能力、アプリケーション・サービス能力など、多くの面で2倍になった」と主張している。
中国の大学は、アメリカの高性能ハードウェアを合法的に入手することができなくなったため、国産プロセッサを使わざるを得なくなったが、そのプロセッサはかなり高性能になっているらしい。Next Platformは、MT3000と呼ばれる国産チップを使用することで、新しい天河がエクサスケールの性能を達成できると報じているが、その仕様や性能の数値は謎のままだ。実際、このレポートではアクセラレーターについては一切触れられておらず、プロセッサーそのものについてのみ触れられている。
ここで注目すべきは、天河2号では32,000個のIntel Xeon 12コアプロセッサーが使われていたが、この新しいシステムでは中国製のシリコンが使われていることだ。Tom’s Hardwareが指摘しているように、この新しいスパコンは、2019年に1.7エクサフロップスの計算能力をもって発表されるはずだった天河3号の仕様をそのまま受け継いでいる可能性がある。
The Next Platformによると、この新しいコンピューターにはMT3000プロセッサーが搭載されていると報じられているが、何個使われているのか、何コアあるのかなどの詳細はまだ不明だ。これらはマルチコアのArmv8 Phytium 2000+ CPUとMatrix 2000+(MTP)プロセッサノード/アーキテクチャであると考えられている。
このマシンがどのようなパワーを搭載しているのかは、もう少し待つ必要があるだろう。中国は、その努力をいくらか謎めいたものに保つために、世界の他の国々のようにTop500リストにシステムを提出することはもうないが、ゴードン・ベル賞には参加している。来年は、この新しいシステムを同賞に提出し、Auroraと名付けられた最新のIntelベースのシステムや、エネルギー省のオークリッジ国立研究所にあるAMDのエクサスケールFrontierシステムなど、米国のスーパーコンピューターと比較することになるだろう。
Sources
- GD TODAY: New generation of domestic supercomputing system “Tianhe Xingyi” launched in Guangzhou
- Reuters: China launches new homegrown supercomputer – Xinhua
- The Next Platform: WHAT’S INSIDE CHINA’S NEW HOMEGROWN “TIANHE XINGYI” SUPERCOMPUTER?
- Tom’s Hardware: China uses mysterious homegrown chips for new Exaflop-class supercomputer — Tianhe Xingyi promises doubled performance over previous record holder
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