オランダの半導体製造装置最大手ASMLは、業界初の開口数0.55の極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置(High-NA)をIntelに向けて出荷した事をXへの投稿で明らかにした。
リボンがかけられた写真と投稿はプレゼントを意識したもののようだが、確かにIntelにとってもこれは嬉しいクリスマスプレゼントと言えそうだ。初期のHigh-NA装置は、Intelの18A(18オングストローム、1.8nmクラス)製造プロセスでの動作を学ぶために使用される。
ASMLのHigh-NA EUVリソグラフィ装置出荷は、先に発表されていた様に予定通りに進められた。同装置は、オランダのフェルドホーフェンからオレゴン州ヒルズボロ近郊にあるIntelの拠点に輸送され、今後数ヶ月かけて同拠点に設置される予定である。このマシンは非常に大きいため、輸送には13個の巨大コンテナと250個の木箱が必要となる。High-NA EUVスキャナーは1台あたり3億ドルから4億ドルほどかかると言われている。
ASMLが出荷するHigh-NA EUVツールは、Intelが2018年に買収したパイロットTwinscan EXE:5000マシンである。この装置は、Intelが18Aプロセス技術でのHigh-NA EUVツールの動作をよりよく学び、18A以降の生産ノードを使用して2025年から始まる量産チップ製造用に商用グレードのTwinscan EXE:5200マシンを導入する前に貴重な経験を積むために使用される。
0.55NA(High-NA)レンズを搭載したHigh-NA EUVリソグラフィ装置は、8nmの解像度を達成することができ、13nmの解像度を提供する0.33NA(Low-NA)レンズを搭載した標準的なEUV装置よりも顕著な進歩を遂げている。High-NA技術は、Low-NA EUVダブルパターニングまたはHigh-NA EUVシングルパターニングのいずれかを使用する必要がある2nmクラス以降のプロセス技術において重要な役割を果たすと予測されている。
High-NAリソグラフィ装置は、Low-NAリソグラフィ装置と多くの相違点があり、多くのインフラ変更が必要となるため、ライバルに先駆けてツインスキャンEXEを導入することは、Intelにとって大きなアドバンテージとなる可能性がある。特にIntelには18A以降のプロセス技術を調整する時間を得ることができ、High-NAインフラを自社で調整することになり、競合他社に対する新たなアドバンテージを得ることが出来るだろう。
ASMLはHigh-NAリソグラフィ装置を2024年度は10台製造する予定であり、そのうち6台をIntelが確保していると言われている。ASMLは2025年以降は年に20台製造する予定とのことだ。
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