昨日、 AMDはFidelityFX Super Resolution(FSR)2.0のソースコードを公開し、この画期的なアップスケーリング技術をより多くの開発者の手で進化させることを選択した。以前から、FSRはPCにしばられるものではないとしていたが、今回その技術がXboxで利用可能になったことを明らかにした。
Twitter : GPUOpenによるツイート
Xboxの開発チームは、すでにこのアップスケールテクノロジーを受け取り、将来のゲームへの展開に向けて、現在積極的にテストを行っているとのことだ。FSR 2.0に対応するXboxマシンは、Xbox Series X|S、および前世代機であるXbox Oneが含まれる。
Steam Deckのほか、XboxとのFSR 2.0統合は、AMDの新しいテンポラル・アップスケーリングがPC以外で初めて使用される記念すべき出来事だ。FSR2.0は、実際にPCでパフォーマンスの向上に寄与しており、Xboxにおいても同様の成果が見込まれる。
解像度アップスケーリングという技術は、特に家庭用ゲーム機において有用性が高い。PCのように2年ごとにグラフィックスカードの新型が登場する環境とは違い、家庭用ゲーム機は寿命が非常に長い(5年以上)ため、ゲーム機のGPUが陳腐化しないようにするために、アップスケーリングが必須となるのだ。ほとんどの Xbox(および PlayStation)ゲームは、現行機種の高解像度で 30、60、あるいは 120 fps の目標フレームレートを達成するために、(FSR ではない)何らかのアップスケーリングが取り入れられている。
FSR 2.0が家庭用ゲーム機でどれだけの改善を見せるかはまだ分からないが、おそらくそのアルゴリズムは、最新のXboxゲームにすでに搭載されているソリューションと少なくとも同等であり、より単純なアップスケーリングアルゴリズムよりも優れた物であるだろう。
ただ、FSR 2.0を開発者が統合することにはハードルもある。FSR 2.0は、より高度な技術となるため、ゲームエンジンにまだ含まれていない深度バッファ、モーションベクトル、およびカラーバッファなどの追加データを必要とする。この追加データは、FSR 2.0そのものよりも実装に時間がかかり、FSR 2.0実装のために開発期間が延びる可能性も出てくるだろう。
逆に、すでにテンポラル・アップスケーリング・ソリューションを含むゲームでは、これらの追加データポイントがすでにゲームエンジンで利用可能であるため、開発者はすべきことは、FSR 2.0のソースコードをエンジンに追加することだけで対応させることが出来る。
PCの場合、FSR 2.0は4KでRX 5700とRTX 2070、1440PでGTX 1080とRX 6500 XTと、かなり厳しい最低GPU要件を設定しており、Xbox OneのGPUがこうした演算負荷の高いアップスケーラーを扱えるかどうかは正直疑問だ。
FSR 2.0のパフォーマンスがどうなるかは興味深いところだが、MicrosoftがXbox Oneのサポートを許可したということは、この古いコンソールでもFSR 2.0の重いコンピューティング要件を問題なく処理できると判断されたからだろう。しかし、AMDのRX 6000シリーズデスクトップGPUと同じRDNA2アーキテクチャのGPUを搭載するシリーズXとシリーズSが、FSR 2.0の恩恵を大きく受けることは十分に予想される。
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