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一般相対性理論では、星や銀河、ブラックホールなどの重い天体は、近くを通る光を偏向させるという予言がなされている。つまり、遠くの天体からの光は、私たちの近くにある天体によって重力レンズ効果で屈折される可能性があるのだ。重力レンズは、適切な条件下で、遠くの天体の光を明るくしたり拡大したりする、一種の天然の望遠鏡のような働きをする。これまで天文学者は、この重力レンズを使って、宇宙の最も遠い銀河のいくつかを観測してきた。しかし、天文学者は、この効果をもう少し身近なところで利用することも考えている。

一つは、太陽の重力をレンズとして使い、近くの太陽系外惑星を研究することだ。太陽系外惑星からの光は、太陽によって重力的に集束され、焦点は約550天文単位から850天文単位の範囲になる(太陽系外惑星の光がどの程度太陽のそばを通過するかによって異なる)。原理的には、その距離に1つまたは複数の望遠鏡を設置することで、太陽サイズの望遠鏡を作ることができる。そうすると、100光年先の天体でも10平方キロメートル程度の解像度が得られる。

現在、私たちが作った最も遠距離の宇宙船はボイジャー1号で、太陽から約160天文単位までしか離れていないので、この種の太陽望遠鏡が実現するまでにはまだまだ長い道のりがあることは明らかだ。しかし、将来的には実現可能なプロジェクトだ。魔法のような技術や新しい物理学が必要なわけではない。ただ、工学的な技術が必要なのだ。また、その場合でも、収集したすべてのデータを使って正確な画像を組み立てることがもう一つの課題だ。電波望遠鏡がそうであるように、この太陽レンズ望遠鏡も一度に1枚の画像を撮影することはできないだろう。太陽系外惑星を撮影するためには、太陽がどのように光を集めるのかを詳細に理解する必要があるのだが、そこで最近の研究が役立っている。

完璧な望遠鏡はない。光学望遠鏡の限界のひとつは、回折と関係がある。光の波が望遠鏡のレンズを通過するとき、集光効果によって波がわずかに干渉し合うことがある。これは回折と呼ばれる効果で、画像がぼやけたり、歪んだりすることがある。つまり、どのような望遠鏡でも、画像を鮮明にするためには回折限界と呼ばれる限界があるのだ。重力レンズ望遠鏡は少し違うが、回折の影響と回折限界はある。

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太陽レンズの回折効果 (Image Credit: Engeli & Saha)

今回、研究チームは、太陽の重力レンズ効果をモデル化し、太陽系外惑星のような広がりのある天体からの画像に与える回折効果を調べた。その結果、太陽レンズ望遠鏡は、約4光年離れたプロキシマ・ケンタウリbから届く1ワットのレーザーを検出することができることがわかった。彼らは、一般的に回折限界は望遠鏡の全体的な解像度よりもずっと小さいことを発見した。観測する波長によって異なるが、10kmから100kmのオーダーで詳細な解像度が得られるはずだ。さらに研究チームは、回折限界より小さいスケールでも、研究する価値のある天体が存在することを発見した。例えば、中性子星は一般に小さすぎて特徴を見ることはできないが、表面温度の変化などを調べることができり。

この研究により、太陽系外惑星や中性子星などの天体が、太陽レンズ望遠鏡の有力な候補になることが確認された。将来的には、天文学者にとって画期的な道具になるでだろう。

この記事は、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。

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