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睡眠不足が翌日の仕事にどう影響するか? – そしてもしそれが避けられない場合、より良い仕事をするための4つの方法

眠りが浅かった夜のことを思い出してみて欲しい。翌日の仕事の生産性はどうだっただろうか?仕事を始めるのに苦労しただろうか?一日がどんどん長引いていかなかっただろうか?仕事をせずにTwitterやTikTokで先延ばしにしていないだろうか?

これらの質問に対するあなたの答えが「はい」なら、あなたは一人ではない。私たちは、なぜ眠るのかを完全に理解しているわけではないが、睡眠が私たちの身体的・精神的機能にとって重要であることは分かっている。

では、睡眠不足が翌日の仕事にどのような影響を与えるのか、また、その悪影響にどのように対処すれば良いのだろうか。

組織行動学の研究では、睡眠は仕事で効果的であるために重要であるとされている。例えば、私の同僚と私は、従業員が数週間にわたって1日に数回アンケートに答える日記研究を実施したことがある。

その結果、悪い睡眠よりも良い睡眠をとった日(睡眠の質や時間が高い日)の方が、従業員の本来の仕事に対するパフォーマンスが高く、仕事への取り組みが活発で、同僚をサポートする傾向があることが明らかになった。

一方、睡眠不足は、従業員が先延ばしにしたり、他人の仕事の手柄を主張するなどの非倫理的な行動を取りやすくする

ある研究によると、管理職が睡眠の質を落とした翌日には、その部下が他の同僚の前で自分について否定的な発言をするなどの虐待的な監督を受ける機会が増えたと報告されている。

睡眠は意志力に影響する

睡眠は、私たちが思考や行動をコントロールし調整するために使用する、より高度な認知スキルにとって特に重要だ。特に質の良い睡眠に依存する重要な認知スキルは、自己コントロール、つまり意志力だ。

私たちが仕事で行うことの多くは、意志力を必要とする。私たちは、衝動や感情をコントロールし、あまり楽しくない、あるいは明らかに不快な仕事をこなし、仕事中に気が散らないようにするために、意志力を必要としている。

例えば、お客さまに接する仕事では、気分が乗らないときでも笑顔で接客したり、リモートワークでは、子どもが遊んでいるときに集中して仕事をしたりと、仕事において意志の強さが必要な場面がある。

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睡眠不足の夜は、翌日の仕事のパフォーマンスを妨げる可能性がある

睡眠不足の翌日を上手く乗り切るコツ

良い睡眠の重要性を強調し、寝る前のスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠を改善するための推奨事項を提供する研究はたくさんある。しかし、時折、私たちの多くは、特にストレスを感じている場合、悪い夜を過ごすことがある。では、どうすれば翌日の仕事でうまく機能することが出来るのだろうか。

1.取り組むタスクは戦略的に

できれば、前の晩によく眠れなかった日は、意志力を必要とする仕事のタスクは避けたほうが良いだろう。その代わり、シンプルで、あまり考えたり注意したりする必要のない仕事に取り組もう。

どうしても意志の力が必要な仕事は、精神的に余裕のある早い時間帯に行うようにしよう。

2.マインドセットを見直す

研究によると、意志力についての考え方が、意志力を発揮させる能力を形成することが分かっている。

ある説では、意志力を発揮すると精神的なエネルギーが消耗され、さらに意志力を発揮する意欲や能力が低下するとされている。しかし、意志力が限られた精神的資源に依存していると強く信じている人は、意志力が簡単に回復できる無限の資源に依存していると信じている人と比べて、意志力を発揮した後に、より消耗を感じる。

私の調査によると、このように意志力が無限のリソースに依存していると考える社員は、睡眠不足の日に仕事で良い結果を出している。そのため、意志力の限界についてはまだ解明されていないが、意志力を強く発揮すると精神的なエネルギーが枯渇するという考え方は、一度見直してみてもいいかも知れない

3.自分を変えられないなら、自分の状況を変えよう

ダイエット中なら、キッチンの戸棚を開けるたびにチョコレートを食べるのを控えるより、まずスーパーでチョコレートを買わない方が簡単だ。研究によると、意志力を発揮するのが得意な人は、実は意志力を必要とする状況を避けようとすることが分かっている。

ある実験では、雑念の少ない部屋と多い部屋で作業をする選択肢を与えたところ、意志力を発揮するのが得意な人ほど、雑念の少ない部屋を選ぶ傾向があった。なので、特に寝不足の日は、意志力を発揮する必要がないように工夫することで、より生産的に仕事をこなすことが出来る様になるだろう。

4.面白い動画を見る

ポジティブな感情は、ネガティブな感情の害を打ち消すため、私たちの精神的なエネルギーを回復するのに役立つ。

最近の研究で、私と同僚は、日中に面白いビデオを見ることで、意志力を必要とする仕事の要求による有害な精神的影響を軽減し、それによって従業員の効果を高めることが出来る事を発見した。そのため、よく眠れなかった日、精神的なエネルギーが低下していると感じたら、面白いビデオを見て短時間気を紛らわすことが有効かも知れない。ただし、ハマらないように気をつけよう。


本記事は、Wladislaw Rivkin氏によって執筆され、The Conversationに掲載された記事「How a night of poor sleep can affect your next day at work – and four ways to function better」について、Creative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、翻訳・転載しています。

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