Microsoftなど、一部の企業では実験的に取り入れられている週休3日制は、従業員にとってこの上ない福利厚生につながるが、このアイデアに関心を持っている雇用主がいるならば、どうやら真剣に検討するに値するかも知れない。
ケンブリッジ大学の研究者は、Boston College（BC）の研究者とシンクタンクのAutonomyの支援を受け、英国の61の企業や組織と協力して、6ヶ月間の試験で労働時間の20％削減を実施する実験を行った。
この労働時間削減の実施方法は、飲食店やIT・金融企業など多様な業種によって異なるが、大半は試験前と同じ生産性目標を維持し、時間短縮に伴う給与や手当の削減は行わないと言う形のものだ。
Autonomyが今週発表した新しい報告書によると、労働時間の短縮は従業員の幸福度を大幅に改善し、71%の従業員が試験前よりも燃え尽き症候群のレベルが下がり、39%がストレスのレベルが下がったと報告しているとのことだ。
さらに、参加企業では、前年の同時期に比べ、病欠が65％、離職率が57％減少しているという。
ケンブリッジ大学の研究員で博士号候補のNiamh Bridson Hubbard氏は、「従業員がストレスの大幅な減少を表現するのはよくあることです。多くの社員が、家ではスイッチを切り替えたり、呼吸を整えたりすることができると述べています。ある人は、”日曜日の憂鬱”がなくなったと話していました。」と、述べている。
従業員の成果の向上に加え、参加企業は平均1.4%の収益増加を記録し、参加企業の92%が週休3日制を継続する予定であり、18社が今後恒久的に週休4日制に移行することを確認している。
ケンブリッジ大学社会学部のリサーチアソシエイトであるDavid Frayne博士は、この研究結果を発表する声明の中で、「企業が週休3日制を夢から現実的な政策に変え、複数の利益をもたらしている多くの方法を示しました。本当に勇気づけられたと感じています」と述べている。
生産性低下への懸念は払拭された
この新しい調査は、61社、2,900人の従業員の幸福度を測定したもので、この種の調査としては最大規模のものだ。
週休3日制キャンペーンのディレクターであるJoe Ryle氏は、この新しいレポートが週休2日制の有効性に関する懸念を払拭することを期待している。「経済のさまざまな部門にわたって、これらの驚くべき結果は、週休3日制が実際に機能することを示しています。」
ケンブリッジ大学側の研究を主導したBrendan Burchell教授も同意見である。「試験前は、労働時間の短縮を補うだけの生産性の向上が見られるかどうか疑問視する声が多かったのですが、まさにその通りの結果となりました」
「多くの従業員は、自分たちで効率化を見いだしたいと強く願っていました。多くの社員が、自分たちで効率化を図ろうとするようになりました。従業員は時間をつぶすことをあまり好まず、生産性を向上させる技術を積極的に求めるようになりました。」
米国やアイルランドでも同様の結果が報告されているが、英国の研究は、実施規模が最大であると同時に、参加者への大規模なインタビューが行われた初めてのものだ。
「この試験的な手法により、研究者は調査を超えて、企業が現場でどのように成果を上げているかを詳細に調べることができました」とFrayne氏は述べている。
この試験の前から、多くの雇用主が、特にパンデミックに対応した仕事の仕組みのあり方を検討してきた。
企業文化の衰退を懸念し、完全な在宅勤務に抵抗がある企業も多いが、従業員が直面している状況への理解も深まっている。
「パンデミックは嫌だった。」と、このトライアルに参加したあるNPOのCEOは語る。「でも、そのおかげで、お互いをよく見るようになったし、頭が健康であることの大切さや家族の重要性に皆が気づくようになった 。」
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