AMDが発売したばかりのフラッグシップGPUで、オーバーヒートによる不具合の報告が相次ぎ、同社が調査を行う事態になっている。オーバークロッカーでYouTuberのDe8auer氏が、4つのGPUサンプルを使ってこの問題を掘り下げた所、原因がカードのベイパーチャンバーにあるのではないかと報告している。
事態の概要だが、AMDの新しいGPUであるRX 7900 XTXのユーザーから、GPUホットスポット温度が110℃に達している事が報告されている。これは、カードが到達できる最高温度で、これによって、サーマルスロットリングとファンノイズによる爆音被害を引き起こしている。AMDも認めているように、これは想定された動作ではない。メーカーが想定している温度としては、最高でも90℃前後だろう。通常利用では、80℃程度に留まるはずである。110℃という温度は想定を超えた物であり、何らかの問題を抱えていることは明らかだ。
De8auer氏は、フォロワーから実際に不具合が認められたカードを購入してテストしている。最初の発見は、ボードを水平にしたときに判明した。最初、彼はカードを垂直にマウントしてテストしたが、どのボードも110℃のホットスポットに到達することはなかった。しかし、水平マウントに変更したところ、わずか数分で2枚のカードが110℃に達してしまったとのことだ。また、水平マウントでは、カードのファンの回転が最大1,000rpm速くなったことも指摘している。
では、水平マウントの何が問題の一部なのだろうか?最初の仮説は、この方向ではクーラーが重力によって下に引っ張られるため、クーラーとGPUの間に極小の隙間ができてしまうというものだった。そこで、アクリル製のスタンドをレーザー加工し、クーラーを固定することで検証を行った。これにより、GPUに生じていたかもしれないたるみをなくすことができた。同じ2つのGPUで110℃を記録したため、重力は要因として除外された。また、PCBとクーラーの間にあるプレートも同様に要因として除外された。彼はまた、取り付け圧力を高めるために長いネジを使用したが、効果はなかった。
最後に、彼はGPUを動作させたまま、垂直から水平に反転させることにした。すると、驚いたことに、わずか3分で、正常な動作から110℃のホットスポットになったのだ。さらに興味深いことに、彼はその後、垂直方向に反転させたが、温度は高いままだった。
このことから、ベイパーチャンバーが原因である可能性が浮上したのだ。ベイパーチャンバーとは、液体が高温になると気化し、熱源から離れると再び凝縮して液体になる、ヒートパイプのようなものだ。このサイクルが、グラフィックボード使用時に延々と繰り返される事で、冷却する機構となっている。
彼は、チャンバー内の圧力が適正でないか、液体の量が適正でない可能性があると推論している。あるいは、内部の何かが、液体が熱源に戻るのを邪魔しているのかもしれない。いずれにせよ、De8Auerの目には、他のすべての変数が排除されていることから、ベイパーチャンバーが原因であると見ている。そうなると、製造方法が間違っているので、ファームウェアやドライバのアップデートで修正することはできないことになる。
De8auer氏は続く動画にて、リファレンスRX 7900 XTXグラフィックスカードのベイパーチャンバーの内部を確認している。内部構造、支柱、水が凝縮されるはずのエリアが映っている。ただし、CNCドリル加工法を採用しているため、一部のカードが熱問題に悩まされる原因がチャンバー内の液量不足であるかどうかは判断できないようだ。
今回の運用では、サーマルスロットリングの影響を受けたカードを使用しているが、不具合や設計ミスなど、明らかな症状は見られないとのことだ。
Igor Wallossek氏によると、ベイパーチャンバーの設計を専門とする会社は、いくつかの RX 7900 カードがチャンバー内の液体の不十分な量によって影響を受ける可能性があると考えてる。Der8auer氏が言及したように、わずか数ミリリットルの不足がこのような問題を引き起こす可能性がある。ただ、これはまだ確認されておらず、適切な装置なしにこれをテストすることは不可能なようだ。
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