台湾メディア DigiTimes の報道によると、半導体製造受託企業のTSMCは、3ナノメートル(3nm)チップ製造技術で複数の受注を獲得しているとのことだ。TSMCは今年下半期に3nmの生産を開始する予定だが、今月の初めにIntelの製品設計変更により製造プロセスが遅延すると報じられ、3nmプロセスの製造設備への投資を縮小する可能性が報じられた。TSMCとIntelは即座にこの報道を否定し、同社のプロセステクノロジー開発は計画通りに進んでいると述べているが、今回、DigiTimes は、TSMCがこの先端技術で製品を製造するために複数の異なる企業から注文を調達していると報じている。
TSMCの3nmプロセスに大手テクノロジー企業からの注文が殺到している
DigiTimesのレポートによると、TSMCが3nmプロセスで受けたかもしれない注文の詳細を共有するために、集積回路設計会社の情報源を引用している。チップメーカーは、場合によっては数千億円規模にもなる高い投資とセットアップコストが、大量の半導体ウェーハを製造して初めて回収できるため、新しいプロセスの立ち上げに当たっては受注の獲得が欠かせない。特に先端チップ製造に使用される機械はランニングコストが高く、注文が少なすぎると生産能力が不足し、チップメーカーが得られる利益よりも製造コストが高くなることがあるのだ。
DigiTimesによれば、TSMCはさまざまな企業から3nmを受注しており、既に明らかになっていた物と言えば、AppleとIntelだった。特にIntelとTSMCの3nmへの協力は、メディアの大きな関心を集めており、この点に関する最新の情報では、同社が一部の製品について3nmプロセスを取りやめたと主張している。
また、IntelとAppleに加え、台湾のMediaTek、NVIDIA、Broadcom、AMD、Qualcommが3nm製品の発注を行ったと報じている。この情報がもし本当なら、TSMCは3nmの生産を迅速に立ち上げ、多額の市場シェアを獲得することができるため、Samsungに対して強い優位性を持つことになる。
DigiTimesは、「Qualcommがサプライヤーを多様化することを好み、Samsungと取引する際に他のビジネス上の考慮事項もあることから、3nmチップに関してもSamsungを巻き込むと考えられている」している。
SamsungとTSMCの3nm技術は、それぞれ異なるトランジスタ設計を採用しているため、この点で2社は大きく異なる。TSMCは伝統的なFinFET技術を採用したのに対し、Samsungは理論上、高い導電性により優れた性能を実現できる先進のGAA FET技術に先行して取り組んでいる。
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