AMDが次世代CPU「Ryzen 7000」を発表 – 5GHz超えでシングル性能15%向上を実現

masapoco
投稿日 2022年5月23日 18:36
amd ryzen 7000 raphael

AMDは5月24日からオンライン及び対面形式で開催される「COMPUTEX 2022」に先駆けて行われた基調講演において、同社の新製品などに関する発表を実施。その中で、最新CPU「Ryzen 7000」シリーズを発表した。

この記事の要点
  • AMDが次世代CPU「Ryzen 7000」シリーズを発表。
  • L2キャッシュが従来比2倍、最高クロック5GHz超になり、シングルスレッド性能が15%向上
  • DDR5 SDRAMやPCIe 5.0に対応。TDP最大170W
  • Ryzen 7000シリーズのリリースは2022年秋を予定している。

新プラットフォーム「AM5」と共に登場するRyzen 7000

Ryzen 7000シリーズの概要

Ryzen 7000シリーズ(コードネーム:Raphael)は、AMDの全く新しい「Zen 4コア・アーキテクチャ」に基づいて、チップレットテクノロジーで構成される。CCD(Core Complex Die)はTSMCの5nmプロセスで、IOD(I/O Die)は6nmプロセスで製造されるとのことだ。

CCD(Core Complex Die)について

AMDのZenマイクロアーキテクチャーにおけるCPUダイの事。CPU Compute Dieとも。Zen 2コア・アーキテクチャからは、CPUとI/Oのチップを必要に応じて組み合わせる「チップレット」と呼ばれるマルチモジュール設計(MCM)が取り入れられており、CPUコアを内蔵したダイを「CCD」、入出力回路を搭載したダイを「IOD(I/O Die)」と呼んでいる。

チップレット設計により、CCDの数を変えることで性能を柔軟に変えることが出来るようになり、例えば上位クラスでは2つのCCDに1つのIOD、エントリークラスは1つのCCDに1つのIODと言った形で、組み合わせを変えることが出来るのが特徴。

CPU周りの特徴は以下の通りだ。

  • 5nmで製造されるCCDは最大2基搭載される
  • CPUのL2キャッシュ容量は1コア当たり1MBに増加(従来比で2倍)
  • CPUのシングルスレッドは15%以上のパフォーマンス向上が見られる
  • CPUコアは最高クロック周波数が5GHz以上も
  • ML(機械学習)ベースのAI処理を高速化する命令セットを追加

I/O周りの特徴は以下の通り。

  • 6nmで製造されるIODが1基搭載
  • I/OダイにRDNA 2アーキテクチャのGPUを統合
  • 映像出力を最大4系統まで搭載可能(DisplayPort 2.0とHDMI 2.1をサポート)
  • デュアルチャネルDDR5 SDRAMをサポート
  • USB 3.2 Gen 2×2ポートを最大14基搭載可能
  • PCI Express 5.0バスを最大24レーン搭載可能
  • Wi-Fi 6/6E(IEEE 802.11ax規格の無線LAN)とBluetooth 5.2を搭載可能

今回の発表では、詳細が明らかにされなかった部分もある。例えば、CPUコアが最大いくつになるのか、新しい命令セットの詳細についてなどだ。これは、リリースされるタイミングまでに明らかにされるとのことだ。

なお、シングルスレッドで15%以上の性能向上とのことだが、これはRyzen 9 5950Xとの、Cinebench R23シングルスレッドでのテストによる比較での数字とのことだ。

Socket AM5対応となりCPUがLGAパッケージに変更される

CPUパッケージが、Zen 3コア・アーキテクチャまで採用されていた、PGA1331から、今回LGA1718へと変更された。これにより、これまでの製品とは互換性がなくなっている。マザーボード側のスロットも「Socket AM4」から「Socket AM5」へと変更されている。

また、信号伝送用のピンが、AM4では1,331ピンだったのが、AM5では1,718ピンと数が増えており、多くの信号線をCPUとマザーボードの間に通せるようになっている。これにより、PCI Expressのレーン数、USBのポート数、ディスプレイ出力のポート数が増えるといったメリットがもたらされている。

また、LGA化に伴い、ピンがマザーボード側に配置されたことも地味に大きな変化だ。これまではCPU側にピンがあり、配置する際に折れてしまうと言う事故が起きやすかったが、CPU側のピンがなくなったため、それも少し改善されるのではないだろうか。

Socket AM5の特徴は以下の通りだ。

  • 170Wの最大消費電力をネイティブサポート
  • DDR5メモリとPCI Express 5.0バスに対応
  • Socket AM4用のクーラーを装着できるような物理的配慮を実施

新型チップセット「AMD 600シリーズ」も登場

Socket AM5に対応するチップセットとして「AMD 600シリーズ」も登場する。今回発表されたラインアップは以下の通り。詳細は明らかになっていない。

AMD X670E(「E」はExtremeの意)

  • 「並ぶものなき機能」を備えるチップセット
  • 「究極のオーバークロック」に対応
  • PCI Express 5.0バスをフル活用可能

AMD X670

  • 「エンスージアスト向けのオーバークロック」に対応(X670Eから機能を削減)
  • PCI Express 5.0接続のストレージとGPUを接続可能(GPU用バスはオプション)

AMD B650

  • メインストリームモデル向けの手頃なチップセット
  • PCI Express 5.0接続のストレージを接続可能

これらのチップセットを搭載するマザーボードはパートナー企業を通して発売される。

Core i9-12900Kに圧勝のデモンストレーション

AMDは発表の中で、Ryzen 7000シリーズの試作品(16コアであること以外の詳細は不明)の動作デモンストレーションを披露した。

この試作CPUで「GHOSTWIRE: Tokyo」を動作させており、5.5GHzを超えるクロック周波数を記録している。また、このCPUとIntelのCore i9-12900K(Pコア8基16スレッド+Eコア8コア8スレッド)の性能を比較する「Blender」のタイムラプスデモでは、試作CPUの方が最大31%高速に処理を終えることができたとのことだ。

発売は今年の秋になるとのことで、今後徐々に詳細が明らかにされてくることだろう。IntelもRaptor Lakeを同時期にリリースする予定と見られており、両社の戦いが楽しみだ。



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