米国議会下院は、議会事務局による生成AIツールの使用に厳しい制限を設けており、現在はOpenAIの「ChatGPT」の有料サービスである「ChatGPT Plus」のみが許可されていることが、Axiosの報道により明らかになった。
Axiosは、下院事務局長のCatherine Szpindor氏から、ChatGPTと同様の大規模言語AIモデルを議会事務局で使用するための厳しい条件を設定したメモを入手したとしている。そのメモによると、議会事務局職員が使用できるのは有料のChatGPT Plusサービスのみで、その理由はプライバシー管理が厳しいためで、あり、また利用に際しては、「研究と評価」のためだけだとSzpindor氏は述べている。「まだ公開されていないテキストブロック」をサービスに貼り付けることや、日常業務においての利用はまだ許可されていないとのことだ。
AppleやSamsungを含む多くの民間企業は、従業員がChatGPTのような生成AIツールを使用することを制限または禁止している。これらの企業は、機密データがツールを通して漏れるかもしれないという恐れを挙げている。この恐れは、ユーザーのチャット履歴を一時的に公開したバグのような、OpenAIのプライバシーに関する過去の失態にも裏付けられている。
「ChatGPTや他の大規模言語モデルAIソフトウェアの他のバージョンは、現在のところ下院での使用は許可されていません」とSzpindor氏は月曜日のメモに書いている。
議会事務局は、ChatGPT Plusを使用する場合でも、一般にアクセス可能なデータでのみチャットボットを使用することが許されている、とSzpindor氏は付け加える。プライバシー機能は、AIモデルにデータを送り込まないように、手動で有効にする必要がある。ChatGPTの無料プランは、他の大規模言語モデルと同様、現在許可されていない。
下院の方針は、それほど大きな反対には直面しないかもしれない。連邦議会では賛否両論があり、AIを規制し統治しようとしている。下院では、Ritchie Torries下院議員が生成AIの使用に免責条項を義務付ける法案を提出し、Yvette Clark下院議員は政治広告についても同様の開示を望んでいる。上院議員はAIに関する公聴会を開催し、AI開発者がそのプラットフォームを使って制作した有害なコンテンツに対する責任を問う法案を提出した。
米国の厳しい措置とは異なり、日本では生成AIの政府機関での利用が検討され始めている。既に2023年4月には、神奈川県横須賀市が行政業務において全面的にChatGPTを利用する事を開始した。また、今月に入り、東京都庁も生成AIの導入により、行政業務の効率化を図る計画があることを表明している。
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