OWCとFrore Systemsは、Frore SystemsのAirJet Miniクーラーを使用した32TBと64TBの静音ソリッドステート・ストレージ・デバイスを「フラッシュ・メモリー・サミット2023」で実演した。これらのデバイスは、完全な静音性を保ちながら、その高い冷却性能により一貫して高いパフォーマンスを実現する。Frore SystemsのAirJet冷却システムを使用することで、ファンを使用しない大容量SSDストレージ・ソリューションへの扉が開かれることになりそうだ。
Frore Systemのソリッドステート冷却技術「AirJet」の詳細については、以前の記事をご覧頂きたい。概説すると、Frore SystemのAirJet MiniとAirJet Proクーラーは、ファンなどの可動部を持たない世界初のソリッドステート冷却装置だ。厚さ2.8mmしかないが、超音波振動する膜によって吸排気が行え、放熱量はそれぞれMiniが5W、Proが10Wを実現する。1mmあたりの冷却能力は従来の冷却方法よりはるかに高い。両デバイスとも、従来はパッシブ冷却や弱いアクティブ冷却ソリューションでしか冷却できなかった、信じられないほどスリムでコンパクトなデバイスをアクティブに冷却することができる。\
OWCの新しいMercury Proは、AirJetクーラーを採用した初の外付けストレージ・エンクロージャーだ。以前、Frore Systemsは、AirJet MiniとProをCPU/SoCクーラーとして特別に宣伝していたが、今回は、AirJet Miniの超薄型フォームファクターのおかげもあって、AirJetが代わりにストレージデバイスの冷却に採用された。
このユニットは、コンパクトな3.5インチU.2エンクロージャーに8台のM.2 SSDを搭載し、4台のSSDは上部に、残りの4台はケースの底部に設置されている。各SSDには専用のAirJet Miniが搭載され、銅製の熱交換器とサーマルパッドでSSDに取り付けられている。OWCの製品では、8TB SSDが8台搭載され、全体として64TBの容量となり、スループットは2,200MB/秒、追加された冷却能力によるシーケンシャル書き込みの持続時間は2,600MB/秒だ。
AirJetの冷却機能により、Mercury ProはSATAハードドライブ1台分のフォームファクターで40Wの熱を放出することができる。これと同じ量の冷却能力で従来のファンを使用した場合、余分なハードウェアを収納するためにストレージ筐体を大幅に厚くする必要があったのだ。
残念なことに、OWCとFrore Systemsはこのエンクロージャーの発売予定日を発表していない。両社は、AirJetを搭載した筐体が長時間の稼動に十分耐えうる信頼性を確保するために、より多くのテストを行う必要があるとしている。Frore Systemの新しいAirJetは有能に見えるが、設計手法はまだ非常に新しく、実世界ではほとんど実証されていない。ZotacのAirJet搭載ZBoxのように、より多くのOEMがAirJetクーラーをシステムで使用するようになれば、それも変わるだろう。
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