人類が扱うデータは増大の一途を辿っており、それに伴いデータ・センターの需要も急増している。Seagateは、2024年前半に最初の100万台のHAMRドライブの出荷を目指しているが、同社はその需要に応え、安定した供給を図るために、Sonyと協力しているようだ。
Nikkei Asiaの報道によれば、Seagateは、次世代HAMR(熱アシスト磁気記録)書き込みヘッド用の最先端レーザー・ダイオードを製造するため、Sonyと提携したことが報じられている。
Seagateが先日発表したMozaic 3+ HAMRドライブは2024年第1四半期に出荷される予定だが、今回Sony Semiconductor Solutionsは、5月にレーザー・ダイオードの製造を開始する予定であるため、SonyはHAMR向けレーザー・ダイオードのセカンドサプライヤーとなる可能性が高い。
Sonyがセカンドサプライヤーとして加わることで、同社は、30TBを超える驚異的なストレージ容量を提供する予定の3.5インチ・ハードディスク・ドライブ用のレーザー・ダイオードの安定した供給が期待出来るようになる。
HAMR HDDでは、プラズモニック・ライターがこの領域にデータを書き込む前に、ナノフォトニック・レーザー・ダイオードがドライブ・メディアのごく一部を400℃~450℃の温度に加熱して磁気保磁力を低下させる。
Sonyのレーザー・ダイオードは驚異的な精度を誇り、わずか100万分の1ミリ幅のスポットにレーザーを集光することができる。この高強度ビームをドライブのストレージ表面に照射することで、HAMRテクノロジーは各小領域に詰め込めるデータ量を実質的に倍増させることができる。
Nikkei Asiaの報道によれば、これを実現するために、Sonyは日本の宮城県にある工場とタイにある工場で、約3300万ドルという大金を投じて生産をアップグレードしているという。
AIやデータを大量に消費するアプリケーションの急成長に伴い、クラウドストレージやデータセンターの需要は急増している。ドイツの分析会社Statistaは、世界のデータ生成量は2025年までに驚異的な181ゼタバイト(バイトのゼロが21個)に達し、2022年から90%急増すると予測している。
このデータへの飽くなき欲求は、データセンター事業者にインフラ拡張の莫大な圧力をかけている。しかし、土地や電力に制約がある中、単に施設を増やすだけでは持続可能な解決策とはならない。そこでSeagateとSonyのコラボレーションが実現し、消費電力を大幅に40%削減しながらストレージ密度を2倍にする方法を提供するのだ。
この開発は、Seagateが1月に発表した、顧客評価の完了後、今四半期末までにこれらのドライブを大量に販売するという発表に続くものである。このドライブは主に、ハイパースケール・クラウド・データセンターおよびバルク・ストレージ・アプリケーションをターゲットとしている。
Seagateが増産に成功すれば、次のステップはプラッタあたり4TBを達成し、その後2年以内に40TB HDDへの道を開く可能性がある。さらに先を見据えて、Seagateの予備的なロードマップでは、2030年までに100TBドライブを開発するという野心的な目標が掲げられている。
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