中国のYMTCが米国商務省のエンティティリストに掲載された事を受けて、同社の取引が制限される中、ライバルのSamsungは12月前半に3D NANDフラッシュメモリの価格を10%引き上げたとのことだ。
- DigiTimes Asia: Samsung raises 3D NAND flash prices by 10%
- Tom’s Hardware: Samsung Raises 3D NAND Pricing Following YMTC Blacklisting
DigiTimesの報道によると、一部のPCメーカーがYMTCとの取引を当面停止したため、他のメーカーからの3D NANDの需要が増加し、それに対応する形でSamsungは価格を引き上げたとのことだ。
米国では、YMTCが米国商務省の未検証者リスト(UVL)に入れられてから、同社を国家安全保障に対する脅威と見なす声が高まっている。
DigiTimesによると、政治的なスキャンダルに巻き込まれたくない、あるいは商務省産業安全保障局から適切な輸出許可を得なければ米国企業からツールを調達できない今、YMTCが十分なメモリを時間通りに供給できるかどうか分からないという理由から、他のPC OEMもこれに続いて、中国のフラッシュメモリメーカーとの取引を停止したようだ。
その結果、Micron、Samsung、SK hynixなど他のメーカーが生産する3D NANDメモリの需要が増加し、市場を牽引するSamsungはこの状況を利用して3D NANDの価格を引き上げることに踏み切ったと、同誌は指摘している。
Samsungの12月上旬の3D NANDの契約価格の引き上げが、3D NAND全般、特にSSDの価格にどのような影響を与えるかは不明だ。3D TLCメモリの相場は数ヶ月間停滞していたため、わずかな上昇はフラッシュメモリメーカーにとって明るい兆しとなる。一方、Samsungは競合するSSDメーカーに3D NANDをほとんど販売しておらず、競合他社は独自にSamsung以外のメーカーから3D NANDを調達し、Samsungに匹敵、もしくはそれ以上の性能を誇る高性能なSSDを生産しているので、Samsungの今回の行動によって直ちにSSDの価格に大きな影響が出ることは考えにくい。
残るは、Micron、Samsung、SK Hynixの3D NANDの減産が、いつ市場に実際の影響を与えるかということだ。TrendForceでは、実際のデバイスメーカーは手元に3D NANDを大量に保有しているため、減産の影響が出るのは2022年第4四半期と見ており、2023年第1四半期については予測をしていない。
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