Appleが今年A17 Proで大々的に宣伝したスマートフォン向けSoCでのハードウェア・レイトレーシング対応は、実はSamsungがさかのぼること2年前に初めてExynos 2200で実現していた。ただしレイトレーシングに対応したゲームがなかったため、この機能は脚光を浴びることはなかった。さらに、このチップに搭載されているAMD RDNAベースのXclipse 920 GPUのグラフィック性能は、レイトレーシングを使ったゲームを滑らかなフレームレートで実行するのに十分なものではなかった。iPhoneによって再び脚光を浴びたこのハードウェア・レイトレーシングにSamsungは再度挑戦する可能性がある。
AjuNewsの報道によると、SamsungはAMD、Qualcommと共同でFSR(FidelityFX Super Resolution)機能をスマートフォン向けに採用するべく開発を進めているらしい。この機能は、同社の次世代フラッグシップ・スマートフォン「Galaxy S24」に採用される見込みだ。FSRは、フレームレートを向上させるためにゲームのグラフィックを低解像度でレンダリングし、その後AIを使って解像度をアップスケールするものだ。こうすることで、生のレンダリング負荷を低減しつつ、高いフレームレートを得ると共に、アップスケールされた高画質なグラフィックを得ることが出来る。FSRはNVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)に対抗することを目的としており、このDLSSは現在、PCゲームの空間アップスケーリング技術として業界をリードしている。
次世代モバイルチップは、FSRと前世代よりも高いグラフィックスパワーを組み合わせることで、レイトレーシングをオンにした状態でも満足のいくゲームパフォーマンスを提供することが出来る。レイトレーシングは、ゲーム内の光源からの光の経路をトレースして、リアルな反射や影を再現するグラフィックス・レンダリング技術で、従来のラスタライズと比較して、より没入感のあるリアルなグラフィックスを提供する反面、多くのコンピューティング・パワーを必要とする。これはモバイル・チップには荷が重かった。そのため、DLSSやFSRのようなフレーム生成技術によって、よりスムーズなフレームレートを提供することが出来るのだ。
Apple A17 ProとQualcomm Snapdragon 8 Gen 3はすでにハードウェア・レイトレーシング機能を搭載しているが、MetalFX UpscalingやFSR(QualcommはGSRまたはGame Super Resolutionと呼んでいます)などの機能と組み合わせることで、モバイルデバイスはレイトレーシング要素を含むゲームを適切に滑らかなフレームレートで実行できるようになる。Galaxy S24は、国によってExynos 2400またはSnapdragon 8 Gen 3のいずれかを採用するようだ。Snapdragon 8 Gen 3はすでにGSRを搭載しているため、Exynos 2400にも同様のAIによるフレームアップスケーリング機能が搭載されている可能性がある。
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