昨日取り上げた、TrendForceによる「Intelの次々世代CPU“Meteor Lake”に生産遅延が起きている」という記事について、両社が揃って否定のコメントを出すことになった。計画は順調に推移しており、変更はないとのことだ。
TrendForceによる製造の遅れに関するレポートは、Intelの次の次に来るCPUのメジャーアップデート版“Meteor Lake”が2024年まで発売が遅れるというものだ。これは、それまで同社が発表していた時期よりも1年も遅れることになる。(2月の投資家説明会でIntelは、Meteor Lakeは今夏に「パワーオン」し、2023年に出荷すると述べていた)。
更にこれによって、IntelがMeteor Lake CPUに搭載する内蔵のtGPUの製造を委託しているTSMCの最先端の3nmラインについて、生産能力拡張計画を狂わせることに繋がり、それによってAppleの製造計画にも影響が出るとしていた。
IntelのスポークスパーソンのThomas Hannaford氏は、The Vergeに対して「事実無根であるばかりか、Meteor Lakeが実際に出荷、発売され、消費者に提供されるのは2023年になる」と明言しているとのことだ。
また、TSMCは、台湾の経済誌 聯合報に対して、「TSMCは個々の顧客のビジネスについてコメントすることはない。当社の生産能力増強プロジェクトは計画通りに進んでいる」と述べている。
TrendForceは昨日、IntelがTSMCのN3ノードでのMeteor LakeのtGPU(Tiled GPU)生産開始を2022年後半から「2023年後半」に延期することを決定したとするレポートを発表し、これによりTSMCがN3能力投資計画を見直したと主張している。
Meteor Lakeは2023年秋(あるいは2023年のホリデーシーズン)に市場に出ることになっているため、Intelが今年中にMeteor LakeのtGPUについて、大量生産(HVM)を開始して2023年の早い時期に納入させることはほとんど意味のないことであった。それどころか、財務的な説明責任の観点からも純粋にメリットがなかった。そのため、GPUタイルのHVM開始を2023年7月にずらすことは、Meteor Lakeプロセッサの入手に影響を与えない、まったく論理的な判断とも言えるだろう。
TSMCに関しては、2023年から2024年のタイムフレームで、N3、N3E、N3PなどのN3ノードを使う予定の顧客が山ほどいる。そのリストには、2023年のApple(TSMCの最大の顧客)とIntelだけでなく、2024年にはAMD、MediaTek、Qualcommなど、挙げればきりがないほどだ。したがって、N3対応容量の導入を遅らせることは、Intelの計画が一部変更されたとしても、TSMCにとっては意味のないことだった。
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