2022年は暑かったが、来年はもっと暑くなるかも知れない。イギリスの気象庁は、2023年も気温が上がり、史上最も暑い年になる可能性があるとの予測を発表した。
イギリス気象庁のNick Dunstone博士によると、猛暑が続いた過去3年間でさえも、実はラニーニャ現象の影響で世界の平均気温が下げられていたとのことだ。ラニーニャ現象とは、太平洋の海面水温が平年より低い状態が続く現象で、世界の平均気温を一時的に冷やす効果がある。これが来年には収束する見込みとのことで、相対的に今年よりも暑くなるとのことだ。
Dunstone氏は、「来年については、我々の気候モデルは、3年連続のラニーニャ状態が終わり、熱帯太平洋の一部で相対的に暖かい状態に戻ることを示しています。この変化により、2023年の世界気温は2022年より高くなる可能性があります。」と述べている。
2023年の世界の平均気温は、産業革命前(1850-1900年)の平均気温を1.08℃から1.32℃(中央値1.20℃)上回ると予測され、10年連続で産業革命前のレベルを1℃以上上回る事になりそうだ。
1度高くなることは、たいしたことではないと思われるかもしれない。しかし、地球規模でのこのような変化は、すでに壊滅的な気候の影響を引き起こしている。さらに、これは地球全体の平均値であり、ある地域は他の地域よりも気候変動の影響を強く受ける事になるのだ。
特にアフリカは、気候変動と干ばつを悪化させるラニーニャ現象の両方が重なり、早急に対処しなければならない状況にある。2020年9月以降、ラニーニャが3年連続で発生している。ラニーニャの影響は地域によって異なり、オーストラリアに激しい豪雨をもたらす一方で、アフリカ東部から雨を奪っている。しかし、一般的には地球全体を一時的に寒冷化させる効果がある。3回目の冬を迎えた今回のラニーニャは、来年4月までに終息する可能性が高い。そのため、今年の冬はラニーニャの影響が残り寒い冬になるだろう。
ラニーニャは、エルニーニョ・南方振動(ENSO)の周期的な気候パターンの極相の一つである。ラニーニャ現象やエルニーニョ現象は、地球の気温が上がると、その頻度が2倍になる可能性がある。このような危険な結果や、より深刻な洪水や熱波などの現象は、人類がパリ協定で目標としている摂氏1.5度以下の温暖化をうまく抑えれば回避できるかもしれない。しかし、2023年の世界予測が示すように、私たちに残された余裕はあまりないのだ。
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