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ペロブスカイト/シリコン・タンデム太陽電池の発電効率が32.5%を超え、世界記録を達成

ベルリン・ヘルムホルツ研究センター(HZB)のプレスリリースによると、同研究センターで開発されたペロブスカイト/シリコン・タンデム太陽電池は、太陽光の変換効率が32.5%と言う驚くべき数値を記録し、世界記録を達成したとのことだ。

再生可能エネルギーへの需要が高まる中、やはり最も有力視されている太陽光発電分野は研究は盛んだ。シリコンは長年、耐久性・コスト、そして効率で太陽電池の主役として活躍してきたが、理論的な発電効率の上限に迫ってきており、研究者らは更なる効率化のための方法を模索している。

近年、代替素材として「ペロブスカイト」が注目されている。2009年には変換効率が9%だったが、今日では25%以上の変換効率を達成するまでに開発は進んでいる。ただし、ペロブスカイトは急速に劣化する性質があるため、研究者らは、太陽電池の中でペロブスカイトと他の素材を交互に使って寿命を延ばす事に取り組んでいる。これは「タンデム型太陽電池」と呼ばれる。

タンデム型太陽電池の利点として大きいのは、太陽光スペクトルの様々な部分が利用できることから、エネルギー変換効率を高められる点だ。太陽電池は、その素材それぞれが得意とするスペクトルがある。シリコンは赤と赤外線を得意とし、ペロブスカイトは緑と青のスペクトルを得意とするのだが、タンデム型ではそれぞれが得意とする領域を受け持たせることで、モノリシック型では難しかった高効率化が実現できる。実際に、最近では変換効率30%を超えるまでになっていた。

そして今回、このペロブスカイト/シリコン・タンデム型太陽電池での変換効率32.5%という世界記録が達成されたわけだ。

開発は、PVコンピテンスセンター(PVComB)とHZBのHySPRINTイノベーションラボの研究者が共同で行った。

今回のタンデム型太陽電池は、ペロブスカイトの薄い層を何枚も重ねたトップセルと、同じようにシリコンでできたボトムセルから構成される。層を重ねることで、異なる色の光を下層まで透過させることができ、電気的な損失も最小限に抑えることができる。また、先進的なペロブスカイト組成を用い、電荷キャリアの再結合損失を低減するための界面改質を組み合わせ、セル全体の効率を高めることにも成功した。

図は、シリコン製のボトムセルとペロブスカイト製のトップセルからなるタンデム型太陽電池の模式的な構造を示している。トップセルが青色光成分を利用するのに対し、ボトムセルは赤色光と近赤外光成分を変換する。異なる薄膜を用いることで、光を最適に利用し、電気的損失を最小限に抑えることができる。 (Credit: Eike Köhnen/HZB)

その結果、ペロブスカイトとシリコンのタンデム型太陽電池で、32.5%の変換効率を達成した。この新記録は、米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が作成し、定期的に更新しているグラフによると、現在、あらゆる太陽光発電技術の中で最高値であり、独立した検証を受けている。

この記録はそれ自体が偉業であるが、それ以上に、最近の太陽電池研究の進歩の速さには目を見張る物がある。ペロブスカイト型太陽電池によって、太陽電池の効率は大幅に向上したが、世界中の研究機関がその限界に挑戦している。

HZBは、2021年末に、太陽電池のエネルギー変換効率で29.8パーセントを達成し、それまでの世界記録を更新していた。2022年夏になると、スイス連邦工科大学ローザンヌ校が、エネルギー変換の30パーセントの壁を破ったのである。

9月には、アイントホーフェン工科大学の研究者が、同じく30パーセントの壁を破った4端子ペロブスカイト・シリコン太陽電池の設計に関するイノベーションを発表している

今回の成果により、記録はHZBに戻ったが、他の研究機関の研究者も太陽電池の可能性の限界に挑戦しており、地球にとってより明るく、より環境に優しい未来を約束するものだろう。


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