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環境センサーを散布する場合、有効なデータを採取するためにはなるべくセンサーを広範囲に配置することが必要となる。だが、例えばドローンから投下する場合、センサーの落下を制御する事が出来ない為、場合によっては一部に偏ってしまう可能性もあるが、研究者らはなるべくこれを避けたい。そんなケースを解決するために、ワシントン大学の研究者らはユニークで革新的な技術的ソリューションを開発した。この技術の肝は日本の文化、“折り紙”だ。

大きな切手ほどの大きさで、重さはわずか414ミリグラムと、釘の半分程度の重さの「マイクロフライヤー」と名付けられた超軽量ロボットは、ミウラ折りとして知られる葉にインスピレーションを得た独特の形状を持ち、バッテリーなしで空中を滑空できる。そして、ドローンから放たれると効率的な滑空を行えるようにその形状を自ら変化させるのだ。

「このようなマイクロフライヤーは、環境モニタリングのための大規模なワイヤレス・センサー・ネットワークの展開を自動化する可能性がある」と、著者らは述べている。

折り紙にヒントを得た形状変化ロボット

マイクロフライヤーの主な要素には、バッテリー不要のアクチュエーター、太陽光発電システム、飛行中に形状変更を開始するコントローラーなどがある。

これらの太陽電池で動く小型飛行装置は、飛行中にダイナミックに形を変え、ドローンから投下されると広がりながら降下する。

これらのロボット・デバイスに組み込まれた電磁アクチュエーターは、平らな構成から折り目のついた構成へと、その形状の変化を容易にする。

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バッテリーを必要としないアクチュエーター、太陽光発電回路、空中で形状を変化させるためのコントローラーが搭載されている。これらの回路は、ここに示すように、マイクロフライヤーを構成する柔軟な素材に直接組み立てられ、パターン化される。 (Credit: Mark Stone/University of Washington)

「折り紙を使うことで、マイクロフライヤーの新しいデザイン空間が開けます。われわれは、葉に見られる幾何学模様にヒントを得たミウラ折り(折り紙)と、パワーハーベスティングと小さなアクチュエータを組み合わせることで、さまざまな種類の葉の空中飛行を模倣できるようにしまし」と、共同主任研究者であるVikram Iyer氏はプレスリリースの中で述べている。

Iyer氏はさらにこう説明した:「折り紙を広げた平らな状態では、ニレの葉のように風に吹かれて無秩序に転がります。しかし、折り畳んだ状態に切り替えると、周囲の気流が変化し、カエデの葉が落ちるのと同じように、安定した降下が可能になります。このエネルギー効率の高い方法によって、マイクロフライヤーの降下をバッテリーなしで制御することが可能になりました」。

形状を変化させる能力は、飛行中に重要なデータを収集する能力を高める。また、高度なBluetooth機能を備えているため、気温や気圧などの大気情報を素早く送信することができる。

プロトタイプの屋外テスト

微風の条件下では、サッカー場程度の距離を簡単に横断することができる。

この新しく開発されたプロトタイプの機能を紹介するため、研究チームはドローンを利用し、地上約40メートルの高度からマイクロフライヤーを放った。

屋外でのテストでは、ドローンから放たれたマイクロフライヤーは、ダイナミックに形状を変化させた後、最大98メートルの距離を移動する能力を示した。その後、60メートル離れたBluetoothレシーバーへのデータ送信にも成功した。

「現在のマイクロフライヤーは、宙返り状態から落下状態へと一方向にしか移行できません。このスイッチによって、研究者は複数のマイクロフライヤーを同時に降下させることができ、降下する途中で異なる方向に分散させることができます」と、研究者らは述べている。

将来的には両方向に移行する装置を作り、荒天時により正確な着陸を可能にする事や、温度や湿度などの変数に関するデータを収集するための様々な小型センサーを装備する予定だ。加えて、この装置は空気の質のモニタリングやデータ収集にも使用できる。

近年、センサー技術の大幅な進歩と自律航行により、ドローンは大気を研究・理解するための貴重なツールとなっている。今回ワシントン大学が考案したマイクロフライヤーは、このドローンによる環境調査において、将来的にゲームチェンジャーとなる可能性を秘めている。


論文

参考文献

研究の要旨

風を利用して、種や葉のように落下するマイクロフライヤーを散布することで、大規模センサーの配置を自動化することができる。ここでは、空中で形状を変化させ、散布距離を変化させることができるバッテリーフリーのマイクロフライヤーを紹介する。我々は、双安定なリーフアウト構造を用いた折り紙マイクロフライヤを設計し、重要な特性を明らかにした:折り紙構造の形状を変えるだけで、劇的に異なる2つの落下挙動を引き起こすのだ。折り紙を広げて平らにすると、マイクロフライヤーは風による横方向の変位を増加させる転倒挙動を示す。内側に折りたたむと、向きが安定し、風の影響を受けにくい下降動作をする。この2つの形状を電子的に遷移させるため、太陽電池で電力を供給しながら、25ミリ秒以内に最大200ミリニュートンのピーク力を発生させる低消費電力の電磁アクチュエーターを設計した。プログラマブル・マイクロコントローラー、Bluetooth無線機、太陽光発電回路、高度を推定する圧力センサー、温度センサーを含む回路を、折り畳まれた折り紙構造上に直接作製した。屋外での評価では、414ミリグラムの折り紙マイクロフライヤーは、空中で電子的に形状を変化させ、微風で最大98メートル移動し、太陽から集電した電力だけで、最大60メートル先までBluetoothでデータを無線送信できた。

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