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ネアンデルタール人はアフリカ象の2倍もの巨象を集団で狩っていた

約12万5000年前のゾウ70頭の骨を新たに分析した結果、当時のネアンデルタール人について興味深い新事実が判明した。彼らは協力して大きな獲物を狩るだけの知能を持ち、これまで考えられていたよりも大きな集団で行動していた可能性がある。

この骨は、肩の高さが約4メートルもあった、現在では絶滅した種である直牙ゾウ(Palaeoloxodon antiquus)のものであった。これは現在生息しているアフリカゾウの約2倍の大きさで、1頭から約4トンの肉が採取されたと考えられている。

この象の肉を剥がし、乾燥させるか燻製にするのに25人のチームで3〜5日かかったと推定されている。このことから、ネアンデルタール人の大集団が近くにいたこと、あるいは、膨大な量の肉を保存する方法を持っていたことが判明したのだ。つまり、初期の人類は、我々が考えるよりも遥かに高度な技術と知能を持ち合わせていたことが分かる。

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ドイツ・ハレにある国立民族学博物館で、直牙ゾウの成体オスの実物大の復元品の隣にいるSabine Gaudzinski-Windheuser博士(身長160cm)(Credit: Lutz Kindler, MONREPOS)

ドイツのMONREPOS考古学研究センターの古生物学者であるLutz Kindler氏は、「これは本当に大変で時間のかかる仕事です」とScience誌に語っている。

遺跡の周りに炭火の証拠があることから、肉を乾燥させたのだろうと推測される。研究者によれば、この量は350人の1週間分、あるいは100人の1ヶ月分の食料に相当するもので、ネアンデルタール人が20人程度の小さな集団で生活していたという従来の説に対抗するものである。

また、動物の年齢も重要である。もしネアンデルタール人が死んだ象の肉を拾っていたのなら、子供や雌がいるはずだ。しかし、象の死体を泥に埋めたり、穴の中に閉じ込めたりして、大きなオスを意図的に狙い、必要な肉以外は取っていないのだ。

ほとんどの骨に丁寧な屠殺の跡が残っていた。他の動物が残した痕跡はほとんどなく、これはネアンデルタール人がこれらの骨を使い終わる頃には、肉や脂肪があまり残っていなかったことを示唆している。

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ネアンデルタール人が使っていた火打石で切られた跡がないか、象の大人の大腿骨を調べるモンレポス考古学研究センターのSabine Gaudzinski-Windheuser所長 (Credit: Lutz Kindler, MONREPOS)

研究者らは、発表された論文の中で、「これは、更新世の陸生哺乳類の中で最大である直牙ゾウを組織的に標的にして処理したことを示す最も初期の明確な証拠となる。このことは、ネアンデルタール人の地域集団の規模、移動性、協力に関する我々の見解に重要な示唆を与えるものです。」と、述べている。

合計約3,400個の象の骨が研究され、研究者達は、火打石工具によって残された切断と擦過の跡を明確に発見した。このような切断痕の直接的な証拠が見つかるのは珍しく、重要な発見といえる。

この骨が採取された場所は、ドイツのノイマルク・ノルドという町の近くにあり、1980年代に炭鉱労働者によって発見された。この遺跡は、約13万年から11万年前の最終間氷期(LIG)のネアンデルタール人の活動を研究する上で、最も豊富な資料の一つである。

今回の結果が直ちに、ネアンデルタール人が常に大きな集団で生活し、活動していたとは限らない。しかし、この結果は、この時代の人類の祖先がかつて考えられていたよりも洗練されており、その行動を様々な環境や気候に適応させることが可能であったことを示すものだ。

「ネアンデルタール人のある地域集団がそのような行動を取ることができたのなら、他の地域集団もきっとそうだったでしょう」と、ネバダ大学リノ校の考古学者Gary Haynes氏はScience誌に述べている。「このことは、ネアンデルタール人が、かつて解釈されていたような人型の獣というよりも、むしろ現代人に近い存在であると想像させるのです。」


論文

参考文献

研究の要旨

アンティクウスゾウ(Palaeoloxodon antiquus)は、80万年前から10万年前のユーラシア大陸に生息していた更新世最大の陸生哺乳類である。ゾウの骨格と石器が時折一緒に出土することから、ゾウと更新世人類との相互作用の性質について多くの推測がなされている。ヒトは自然死したゾウを食べたり、狩りをしたりしたのだろうか。12万5千年前のドイツの湖底堆積物から発掘された、知られている中で最大のP. antiquusの群れの古生物の研究から、体重13トンにもなるゾウの狩りが、最終間氷期のネアンデルタール人の文化レパートリーとして、2000年以上、数十世代にわたって行われていたことが明らかになった。また、このノイマルク・ノルド遺跡群から得られた既報のデータと合わせると、ネアンデルタール人はあまり移動せず、一般に考えられているよりもかなり大きな社会単位で生活していたことが示唆される。

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