先月末に小惑星との衝突に成功した米航空宇宙局(NASA)のダブル・アステロイド・リダイレクト・テスト(DART)について、この実験の結果、「実際に小惑星の軌道変更に成功したことが確認出来た」とNASAは発表した。このテストは、人類の歴史上初の試みで、その目的は、小惑星のような地球に脅威を与える可能性のある天体の軌道を、人間が変更することができるかどうかをテストすることであった。
このミッションでは、NASAのDARTインパクター探査機がディディモス小惑星系の小惑星ディモルフォスに衝突し、その衝突によって親小惑星を回る小惑星の軌道が30分以上短くなったことがNASAの最新データによって明らかにされた。
NASA、DARTが成功基準を25倍以上も上回ったことを確認
DART宇宙船を地球から何万kmも離れたディディモス小惑星系に向けて飛ばす前に、NASAの基準では、テストが成功すれば、小惑星の軌道が75秒変化するとされていた。このミッションでは、NASAのインパクター宇宙船が、衝突のわずか1時間ほど前に親小惑星ディディモスを利用して方向を定めた小惑星ディモルフォスに衝突した。
衝突後すぐに公開された衝突の映像では、月の小惑星を訓練する岩のひずみが映し出され、ダメージがあったことが示されていた。衝突からおよそ2週間後の今、NASAはミッションが成功したことを確認し、時速22,530kmという目を見張るようなスピードで起こった衝突により、ディモルフォスの軌道が32分変更されたことを明らかにした。
NASAによると、衝突前のディモルフォスはディディモスの軌道を11時間55分かけて周回していた。DART衝突後、この時間は11時間23分に短縮され、試験の成功基準を25倍以上上回る32分の変化となった。
しかし、NASAの天文学者は、まだこの小惑星システムの実験を終えてはいない。テストが成功したことを確認した後、彼らは今、小惑星が衝突した後に放出される岩石に注目している。宇宙は空っぽなので、この岩石の力も小惑星を前に押し出し、軌道を変えるのに役立っているのだ。
今後、イタリア宇宙庁が開発したDARTの伴星画像衛星から送られてくる画像を、天文学者は引き続き観察する予定だ。これにより、小惑星の形状や質量を分析することができる。また、ディモルフォスの表面の質感を分析することも検討されている。小惑星は硬い岩石でできているものばかりではなく、スポンジのような柔らかい表面を持つものもある。
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