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小惑星に宇宙船が衝突する瞬間を離れた場所から撮影した衝撃的な画像が公開

昨日、人類は地球から約1,100万キロも離れた太陽系の彼方で、驚くべき偉業を達成した。

NASAの Double Asteroid Redirection Test(DART)は、長年の計画の末、ついに小惑星ディディモスの周りを回る小惑星ディモルフォスに激突し、その衝撃によって小惑星の軌道を変更するという史上初の試みに成功したのだ。

この実験では、探査機が小惑星に激突する最後の瞬間まで、真正面でその小惑星の姿をとらえて映像を送り続けていた。ご覧になった方も多いだろう。

だが、実は衝突の少し前に、DARTは、LEIAとLUKEという二つの光学カメラを搭載した、イタリア宇宙庁(ASI)のキューブサット「LICIAcube(Light Italian CubeSat for Imaging of Asteroids)」を展開し、この壮大な出来事の一部始終を撮影していたのだ。そして、その映像がついに届いた。

画像の中に写る大きく明るい天体は、小惑星ディディモスだ。また、繊細な線は、衝突によってディモルフォスから噴出した塵である。この画像から、衝突によってどの程度破壊されたのか、またどのような組成なのかが明らかになるはずだ。

このミッションは、将来地球と衝突しそうな小惑星を発見したときに、それを方向転換させる能力をテストするために計画されたものだ。

今回の実験によって得られたデータは、今後小惑星の軌道を修正させるミッションの設計に役立ち、この結果をもとに技術を改良していく予定とのことだ。

次の段階では、衝撃を受けた天体の動きの変化を調べることになる。今回、実験の標的にディモルフィスが選ばれたのはこれが理由だ。この小惑星は、幅約160メートルで、幅780メートルのディディモスの周りを約11.9時間に1回、ふらふらと踊りながら回っている。ディモルフォスは、この軌道周期について詳しく知られているため、今回の衝突によってどの軌道に影響が出たのか、測定出来る可能性が高いのだ。

この1回の衝突から、小天体への衝突の仕組み、運動量の伝達、人工衝突装置を使って小惑星の軌道をずらす方法など、多くのことが学べるはずだという。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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