MicrosoftがAzure OpenAIサービスを米国政府に提供することを発表した。これにより、米国の政府機関は、GPT-4やその前身といったOpenAIの人工知能(AI)モデルを利用することが可能となる。
OpenAIのGPT-4は、Microsoftの新たなBing検索エンジンを支える存在である。このAIの活用によりデータを有効利用しようとする企業が注目を寄せている。Microsoftによれば、今年1月に開始されたばかりのAzure OpenAIサービスは、すでに4,500以上の顧客に提供されている。
その顧客とは、MercedezやVolvo、Ikea、Shellといった大企業であり、従業員の生産性向上やデータの分析手法の模索を行っている。民間企業がAIを業務に活用することを急いでいる一方、政府機関はその輪から外れていた。しかし、Microsoftの提供により、政府機関も強力なAIモデルを利用することが可能となった。
政府機関はMicrosoftのAzure OpenAIサービスを利用し、OpenAIのGPT-4、GPT-3、Embeddingsにアクセスできるようになる。Embeddingsとは、テキスト文字列の関連性を測定し、検索やクラスタリング、異常検知、分類などの操作に活用される機能である。
これらのサービスは、政府機関が効率性を高め、生産性を向上させ、データから新しい洞察を引き出すことを支援する目的で提供されていると、Microsoftはブログ記事で述べている。サービスの利用者は、REST API、Python SDK、そしてAzure AI StudioのWebベースインターフェースを用いて、AIモデルを特定のタスクに適合させることができる。
このサービスを利用することで、政府機関がコンテンツ生成を加速し、調査や分析に必要な時間と労力を削減し、ログの要約を生成し、長いレポートを迅速に分析し、さらに情報発見の強化を促進することが可能となるとのことだ。
また、従来は時間がかかっていたデータモデルへの問い合わせやコードドキュメントの作成など、カスタムアプリケーションの構築も可能となる予定である。
多くの政府機関が高度なセキュリティを必要とする機密情報に取り組んでいるため、Microsoftは厳格なセキュリティとコンプライアンス基準を満たすAzure Governmentを通じて、これらのサービスを提供する。
政府機関はAzure Governmentのネットワーク上でAIサービスを利用することになるが、このネットワークはMicrosoft独自のバックボーンネットワークを通じて、商用Azureネットワークと直接ペアリングされる。このアーキテクチャにより、政府機関のアプリケーションとデータ環境はAzure Governmentに留まることが保証される。
さらに、MicrosoftはAES-128ブロック暗号を使用してすべてのAzureトラフィックを暗号化し、トラフィックがMicrosoftのネットワーク内に留まり、パブリックインターネットの一部にならないようにする。また、政府のデータがデータについての学習やAIモデルの訓練や改良のために使用されることはないと、Microsoftは明らかにしている。
具体的には、Azure Governmentのユーザーは、インターネット上で一般的にアクセス可能な会話型チャットボットであるChatGPTにアクセスすることはできないと、Microsoftの広報担当者はBloombergに対して確認している。
これにより、Samsungで起きたような事態とは異なり、国や連邦の職員がこの技術に何らかの疑念を抱いた結果、政府や個人のデータが誤って公開されるという懸念は払拭されることになるだろう。
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