ウクライナ戦争は未だ長期化の様相を呈しているが、この戦争を象徴するものとして、DJIのMavic 3があるという。
DJIは何度も「軍事用のドローンは作らない」「ロシアとウクライナでのドローン販売を中止した」と言っているが、ロシアとウクライナの軍隊はDJI Mavic 3を多用しているのだ。
DJI Mavic 3は、戦争の両側面で偵察を行い、敵のいる場所を正確に座標で示し、敵の陣地に手榴弾などの爆発物を投下するために使用されているという。
- The Washington Post: Russia and Ukraine are fighting the first full-scale drone war
The Washington Postの記事によると、すべての軍隊でDJI Mavic 3ドローンが使用されており、ウクライナ軍は、飛んでいるドローンが果たして敵なのか見方なのかもよく分からない状況になっているとのことだ。
DJIはロシアとウクライナでのドローン販売を禁止しているが、非営利団体やボランティアは小売店からドローンを大量に購入し続けている。ドローンはウクライナ側で小火器を投下するために装備され、偵察にも利用されている。
先月、ウクライナ軍が南部ケルソン地区で押し寄せた際、特殊部隊はコーラの缶を再利用して爆薬を作り、Mavic 3から地雷原に投下して兵士の通路を作るための安価な手段を講じた。
しかし、DJI Mavic 3の最大の特徴は、小型の爆発物を投下する能力ではなく、ある種の心理戦が行えることだ。DJI Mavic 3が投下した手榴弾は大きな被害をもたらさないが、ドローンによる攻撃はロシアの敵に猜疑心を抱かせ、いつ大規模な攻撃を受けるか分からないと恐れさせる。
KhartiaのドローンパイロットのOleksandr Dubinskyi氏は、The Washington Post紙に「彼らの生活を常に悪夢にすることができる」と語っている。
DJI Mavic 3のほか、Autel EVO IIも双方が使用する人気のドローンだ。Autel Roboticsは、DJIと同じく中国・深センに本社を置くドローンメーカーだ。
ロシアとウクライナの上級指揮官は、ソ連時代に一緒に訓練を受けた者も多く、ドローンには常に難色を示してきた。だが現在、彼らは何千人ものドローンパイロットを養成するために迅速に取り組んでいる。
ウクライナのデジタル変革担当大臣であるMykhailo Fedorov氏によると、同国の公式クラウドファンディング・プラットフォームであるUnited24は、「Army of Drones」プロジェクトの一環として、約1000台のUAVを購入する契約をしているという。
だが、それでも足りなく、戦闘を継続的に中継するためには、DJI Mavic 3を中心とする推定1万台のドローンを広い前線に沿って飛行させることが目標だと、Fedorov氏は述べている。
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