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国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年1月20日午前0時20分(日本標準時)に、小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸に成功したことを確認した。これにより、日本は、米国、旧ソ連、中国、インドに続き、月面への探査機着陸に成功した5番目の国となった

SLIMの目標は、特定のターゲットエリアにわずか100m以内と言う精度で着陸することであり、人類がこれほど正確に宇宙船を他の天体に着陸させようと試みたこともかつてなく、そうした点でも画期的であり、歴史的な快挙である。

ムーンスナイパー

SLIM(「Smart Lander for Investigating Moon」の略)は、XRISMと呼ばれるX線宇宙望遠鏡とともに昨年9月に打ち上げられた。XRISMは打ち上げ後すぐに地球低軌道に投入されたが(そして最近、最初のテスト画像を地球に送った)、SLIMはその後、月を目指した。

SLIMは月に向けて長くループするルートをとり、最終的に12月25日に月軌道に到着した。最初の軌道は非常に楕円で、SLIMは月面に最も近いところでは600km以内、最も遠いところでは4,000km離れていた。

1月15日、SLIMは重要なエンジン燃焼を行い、高度約600kmの円軌道に予定通り投入され、降下・着陸作業の舞台を整えた。

今朝、SLIMの軌道を月面の約15km上空まで下げた。そして、今日の午前0時に開始され、20分後に歴史的なタッチダウンでクライマックスを迎えた。

SLIMは高精度着陸のための技術実証である。SLIMは、JAXAの別のミッションである月周回衛星「かぐや(SELENE)」の観測結果を利用し、探査機が月面のどこにいるのかを正確に把握し、目標地点まで正確に移動した。SLIMの100mと言う精度と比較して、アポロ11号の着陸予定地は、20km×5kmの楕円だった。“着陸できる場所”ではなく“着陸したい場所”に着陸するというのは、野心的な試みだ。これがこの探査機の「ムーン・スナイパー」というニックネームの由来となっているが、今回これに成功した事はまさに日本の宇宙開発にとってまさしく最大級の偉業と言えるだろう。

JAXA関係者は記者会見で、SLIMは望ましい着陸精度を達成したようだと述べているが、その結論を確認するまでに約1カ月かかる可能性があるとのことだ。

しかし、すべてが完璧に進んだわけではない。記者会見において、JAXAはSLIMの太陽電池が充電・発電できていないことを確認した。JAXA関係者によると、太陽電池が動作しない理由は不明だという。もしSLIMが充電できなければ、ミッションの寿命はわずか数時間かもしれない。太陽の方向が変われば、太陽電池に当たって充電が始まる可能性もあるが、今のところJAXAは電力を節約するために探査機の一部を停止し、着陸データと撮影した写真のダウンロードを優先している。SLIMの目的は、搭載された分光計を使って、月の赤道から約15度南に位置する神酒の海(Mare Nectaris)を調査することである。しかし、SLIMのソーラーパネルが起動しない限り、そのチャンスはない。それでも、精密着陸や2台の探査機(LEV-1、LEV-2)の放出など、ミッション全体としてはすでに多くの成果を上げており、探査機は2台とも地球と交信している。

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月に向かって降下し、2台の展開型ロボットを月面に放出するSLIM宇宙船のイメージ図。 (Credit: JAXA)

1台目はホッピング機構で移動し、カメラといくつかの科学ペイロードを搭載している。もう1台は、重さわずか250グラムの超軽量ローバーで、月面で遭遇する可能性のあるさまざまな条件に最適に適応できるように形を変えることができるものだ。

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SLIMが搭載する2台の月周回機(LEV-1、LEV-2)のイメージ図 (Credit: JAXA)

人類による月面着陸や数十年前のソビエト連邦のミッションにもかかわらず、自然の衛星への到達と着陸は複雑な問題をはらんでいる。日本は以前にも失敗している。2022年11月、JAXAの「OMOTENASHI」着陸機は月面に到達する前に行方不明となり、2023年4月には民間企業として初めて月面着陸を試みた日本のispaceが同様の運命をたどった。

昨年8月には、ロシアが約束された月への帰還を試みた。宇宙船は月面に墜落し、NASAが撮影した真新しいクレーターができた。米国の民間ミッション「Peregrine Mission One」も月への到達に失敗し、地球の大気圏に落下して燃え尽きた。

今年も多くの月探査ミッションが予定されているが、人類が月面を歩いてから50年経った今でも、成功が保証されているわけではない。とりあえず、日本は今日、月探査の新たな一歩を踏み出すという大きなマイルストーンを達成した。


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