かつて世界最大のチップメーカーだったIntelは、現在その王座に座ることが叶わないが、同社はかつての栄光を取り戻すために、複数の会社から幹部や経験豊富な従業員を採用することを続けているようだ。
Intelはx86チップの世界的な製造拡大を推進しており、計画実現のためにライバル企業の幹部を引き抜く
The Registerは最近、Intel CEOのPatt Gelsinger氏と同社が、IntelのファウンドリサービスにSuk Lee氏とMichael Chang氏を加えたと報じた。この2人の幹部は、ライバルであるTSMCのベテラン職員で、これまでこの業界で多くの経験があるという。
Suk Lee氏はIntelのエコシステム技術室の副社長職務を引き継ぎ、Michael Chang氏はカスタマーイネーブルメント担当副社長を引き継ぐことになる。The Registerが最近、LinkedInでこの事実を発見したとのことだ。
Lee氏は、13年間TSMCで過ごし、TSMCの設計インフラ管理部門の副社長職を務めてきた。一方、Chang氏は同社の先端技術ソリューションのディレクターを務めていた。2人とも2022年6月に任期を終えている。
2021年3月、Intelは世界のチップ製造の中でより目立つ存在になるべく、ファウンドリサービスを立ち上げた。Intelの失墜を通じて、AppleやAMDといった企業は、TSMCやSamsungとの関係により、より高度なソリューションで市場を大きく掌握することになった。
Intelは次の戦略として、54億ドルの入札でイスラエルのTower Semiconductorを買収する予定である。
Intelの人材引き抜きは今年だけでも、Samsungの北米ファウンドリ部門の上級副社長兼ヘッドを務めた経験のあるHong Hao氏を雇用している。同じ時期に、TSMCで20年以上勤めたMargaret Han氏が、Intelのファウンドリ・サービスのグローバル外部製造調達およびサプライヤー管理担当シニア・ディレクターとして採用されている。
更に、現在北米事業開発担当副社長のWalter Ng氏も、8年近く勤めたUMCから引き抜かれた。また、もう1人、幹部として引き抜かれ、現在ファウンドリサービス社長のRandhir Thakur氏のチーフスタッフとなっているLluis Paris氏はTSMCに約1年半在籍していた。
IntelはTSMCとSamsungに追いついてきているように見られるが、Intel Foundry Servicesの第1四半期の売上は2億8300万ドルに過ぎず、ライバルのTSMCとSamsungは同時期にそれぞれ175億ドル、53億ドルと、大きく水をあけられている。
Gelsinger氏らは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やCiscoといった企業との提携を検討している。Intelが委託製造部門を活用し、同社にとって収益性の高い事業に成長させる計画だ。しかし、Intelが過去に経験した挫折を味わうことなく、現在の歩みを続けられるかどうかは、時間が経ってみないとわからない。
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