Adobe(アドビ)は 10 年以上アプリのPantone カラーライブラリを更新していなかったが、この度、以前のライセンス契約が終了し、新たなライセンス契約を結んだようだ。これにより、今後Adobe製品でPantoneのカラーライブラリを参照するには、Pantone Connect Extensionを使用する必要があり、月額料金が別途かかるようになると言うことだ。料金を支払わない場合は、Pantoneカラーが黒く置き換えられてしまうと言う。
既に一部のユーザーには影響が出始めているようだが、今月から、Adobeアプリ内のPantoneカラーブックはほとんどなくなり、それらの色をファイル内で使い続けるには、新しいPantone Connectエクステンションが必要になる。
拡張機能の使用自体は、アカウントを作成すれば無料で出来るが、色の完全なライブラリの使用、無制限のカラーパレットの作成、および「よりスマートでインパクトのあるパレットを作成するための12以上のツール」は、Adobeのアプリを使用するのにすでに支払っている金額に加え、月15ドルまたは年90ドルのサブスクリプション料金がかかることになる。無料バージョンの拡張機能は、ほとんどの色を参照できず、使い物にならないため、これまで通りの使い勝手が必要ならば、サブスクリプションに加入する必要がある。
この変更は、徐々に展開されているようで、一部のユーザーはすでに、この変更を知らせるPhotoshopのエラーメッセージに遭遇しており、古いPhotoshopファイルのPantoneカラーが、新しいバージョンのソフトウェアで開かれたときには黒に置き換えられているようだ。Adobeによると、Solid CoatedとSolid UncoatedのPantoneライブラリは「2022年11月以降」に削除され、CMYK Coated, CMYK Uncoated, Metallic CoatedのPantoneライブラリのみが残されるとのこと。
ただ、この問題は少し状況が混乱しているようで、既存のPantoneライブラリの削除がいつ始まるかについての日付もソースによっては矛盾しており、価格もまちまちとなっている。Pantone FAQでは、Pantone Connect のサブスクリプション価格は月 8 ドルまたは年 60 ドルとなっており、プラグインの製品ページに記載されている価格よりはるかに低くなっている。
そのPantone FAQはまた、「Pantone Colorの参照を含む既存のCreative Cloudファイルやドキュメントは、それらのカラーアイデンティティと情報を維持する」と主張しているが、この記述は既にユーザーに表示されているAdobeのライセンスエラーメッセージと矛盾しているようにも見える。一方、AdobeのFAQでは、2022年8月以前にリリースされたアプリのバージョンでは、「以前のすべてのPantone Colorブックがプリロードされ、利用可能な状態が継続する」としている。
つまり、どうしても必要ならば、Creative Cloudの「他のバージョン」機能を使って、以前と同じようにPantoneカラーを見て作業できる古いバージョンのアプリをインストールできるということだ(2022年8月以前にリリースされた最新のバージョンとしては、Photoshop 23.4, InDesign 17.3, Illustrator 26.4 がある)。
ただ、これはあくまで応急処置であり、Adobeは旧バージョンのアプリを無期限で提供するわけではない。しかし、Pantoneカラーを頻繁に、あるいは定期的に使用しない人にとっては、ファイルを開いて修正することができるため、画像に黒く塗りつぶされた色が表示されることはなくなる。また、旧バージョンのアプリからこれらのPantoneカラーライブラリを手動でコピーし、新バージョンに再追加することも、一部のユーザーにとっては回避策になり得るという意見もある。
いずれにせよ、一部のAdobeユーザーは思わぬ所での値上げに遭遇しそうだ。
Source
- Adobe: Pantone Color books | Photoshop
- Pantone: Pantone Connect X Adobe FAQ
- via Ars Technica: Pantone wants $15/month for the privilege of using its colors in Photoshop
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