元・Teslaの開発者がCEOを務める米国の電気自動車メーカー「Lucid Motors」が、顧客の注文キャンセルを阻止しようと極めて“積極的”な戦略を取っている事が内部メールのリークと共に報じられ、高級電気自動車市場における競争の激しさを物語っている。
Business Insiderによると、同誌にもたらされたLucidの内部メールから、Lucidが同社の電気セダン「Air」のキャンセルを回避しようとして、かなり激しい戦略をとっていることが明らかになっている。
具体的には、顧客からのキャンセルを避けるために最大で10回近く顧客に電話をかけ、キャンセルを思いとどまらせるという、積極的かつ古典的な戦略をとっているとのことだ。
Lucidとしては、「すべてのキャンセルは失敗である」とのことで(実際メールにもそう書かれているようだ)、この失敗を“救う”事がLucidの従業員の責務であるとし、そのための精巧なプロセスがメールには記されているとのことだ。
顧客から注文のキャンセルが入ると、解決するための「ケースオーナー」に割り当てられる。ケースオーナーはは24時間以内に顧客に電話をかけ、キャンセルをキャンセルさせようと試みる必要がある。もし、顧客と連絡が取れない場合は、連日3回電話をかけ直さなければならないとのことだ。
もしこの段階で電話が繋がらない場合は、更に上のマネージャーに引き継がれ、マネージャーは24時間以内に電話をかけ、連絡が取れない場合は、さらに5回、連日電話をかけ続けるという。
更にそれでも電話が繋がらない場合は、地域マネージャーにこのケースは引き継がれ、地域マネージャーは24時間以内に顧客に電話をかけ、さらに連日3回電話をかける必要がある。ここでやっと、予約をキャンセルすることができるとのことだ。
つまり、Lucidのクルマはもういらない、と思って電話を取らない場合は、キャンセルが確定するまでの2週間、Lucidの従業員から毎日電話がかかってくる可能性がある、ということだ。
この積極的な戦略は、同社が販売台数目標を達成できていないことに起因するようだ。Lucidの予約台数は第2四半期の37,000台から第3四半期には34,000台に減少している。
この積極的なアプローチを、Tesla CEOのElon Musk氏をはじめ、同社の悲観的な兆候と受け止めた人は多かった。この件に対してMusk氏は「They are not long for this world(彼らはこの世界には長くない)」とツイートしている。
ただし、財政的な観点からすると、状況は Lucid にとって良くはないが、悲惨な状況というわけでもないようだ。前四半期には 5 億ドルの損失が計上されたが、それでも約 30 億ドルの現金と短期投資がある。
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