日本の気象庁及び米国海洋大気庁(NOAA)の科学者たちは、、世界中で異常気象を引き起こす要因とされる海洋温暖化現象「エルニーニョ現象」が正式に到来し、2024年まで続く可能性があると発表した。
エルニーニョ現象は通常2~7年ごとに発生し、中央太平洋と東太平洋の赤道付近の海面水温が平均より高くなるのが特徴だ。これらの事象は世界的に影響を与える。
NOAAの気候予測センターの物理科学者であるMichelle L’Heureux氏は、「エルニーニョはその強さによって、世界中の特定の場所で豪雨や干ばつのリスクを高めるなど、さまざまな影響を引き起こす可能性があります。エルニーニョは、特にエルニーニョ時にすでに平均気温を超える地域で、気温の新記録につながる可能性があります」と、述べている。
専門家たちは、以前から今年のエルニーニョを疑っていた。NASAの衛星は、3月と4月にエルニーニョが発生する初期の兆候を発見した。太平洋の暖かい海水が南米の西海岸に向かって東に移動していたのだ。
先月、世界気象機関は、温暖化現象が進み、今後5年以内に地球温暖化の閾値である1.5℃を超える可能性が60%を超えると発表した。その後、NOAAは独自の予測を発表し、今年はエルニーニョ現象がほぼ確実であり、それが大きなものになる可能性があると予測した。さらに、この状態が2024年まで続く可能性は90%であるとした。
科学者たちは現在、「中程度から強い」状態が北半球の秋から冬にかけて続くと予想している。
通常、中程度から強いエルニーニョ現象は、主に冬に米国の天候に影響を与え、南カリフォルニアからメキシコ湾岸にかけては平均より湿った状態になり、太平洋岸北西部とオハイオバレーでは平均より乾燥した状態になる。今年のエルニーニョ現象は、アメリカの北半分で例年より気温が高くなることを告げている。
エルニーニョはハリケーンの発生確率にも影響し、通常、大西洋のハリケーン活動を抑制し、中部および東部太平洋のハリケーン活動を活発化させるという。
最後のエルニーニョ現象は2019年2月から8月にかけて発生したが、その影響は比較的弱かったと言われている。
エルニーニョの年は平均気温が他の年に比べて高くなる傾向があり、世界の気象パターンに多大な影響を及ぼす。これは気候変動の影響によってさらに深刻化し、エルニーニョの特定の影響を悪化させたり緩和させたりする可能性があると、L’Heureux氏は述べている。
気象庁によると、今回は、昭和24年以降で月の平均海面水温差が最大3.6度と最も高く「スーパーエルニーニョ」と呼ばれた平成9年春~10年夏に匹敵するほど赤道域の海水に熱量があるという。
日本では通常エルニーニョ現象の影響で冷夏になることが多い。今夏はラニーニャ現象の名残で暑くなる可能性が高いが、今後影響が出る可能性もありそうだ。
今年のエルニーニョの出現は、世界の気温を未知の領域に押し上げ、今後5年以内に地球温暖化が1.5度℃の閾値を超え、壊滅的かつ不可逆的な気候の崩壊につながることに貢献する可能性もあるだろう。
Sources
- 気象庁:エルニーニョ監視速報(No.369)について
- National Weather Service: NOAA declares the arrival of El Nino
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