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かつて人類の主要なエネルギー生成を担っていた石炭は、現代ではその他の発電技術に比べて環境負荷が高いことから、日本を除く先進国では徐々にその役目を後進に譲っている。だが、そんな重要資源である石炭が発電ではなく別の場所で用いられ、人類の科学技術の発展に貢献する可能性が出てきた。米エネルギー省国立エネルギー技術研究所(NETL)の研究者らは、次世代2次元トランジスタの開発に用いることが出来る極薄絶縁膜を、石炭を使って作成する方法を見出したのだ。この方法は、2次元材料で作られる半導体の新時代を築くのに役立つかもしれない。

半導体は正常に機能するために、複数の材料に依存している。半導体は主にシリコンから作られているが、シリコン・トランジスタを絶縁し、電流が本来流れるべきでない時にトランジスタから漏出するの(リーク電流)を防ぐためには、その他の材料が必要となる。今日の半導体では、金属酸化物がシリコン・トランジスタを絶縁し、リーク電流を抑えている。

しかし問題がある。今日の半導体トランジスタの需要は、AIを含むさまざまな要因によってかつてないほどの高まりを見せている。現代の半導体トランジスターを構成する材料であるシリコンは、半導体チップの需要が増え続けているため、入手が難しくなっている。その結果、半導体業界は現在、シリコンに代わる、より入手しやすい新素材の発見に力を入れている。

今回、NETLが石炭に目を付けたのは偶然ではない。同研究所は、化石燃料としての利用が大幅に減少している国内の豊富な天然資源である石炭の、高度で価値の高い代替利用法の開発に着手していたのだ。

その結果、石炭がシリコンベースの半導体トランジスターに取って代わる候補として発見された。石炭はシリコン・トランジスタを置き換えるために使われているのではなく、金属酸化物に代わる非シリコン・トランジスタ用の絶縁体として研究されているのだ。

現在、シリコン・トランジスタに代わる材料としては、グラフェン窒化ホウ素が検討されている。これら2つの材料から作られるトランジスタは、その驚異的な平坦性から2Dトランジスタとして知られている。特にグラフェンは、原子1個分の厚さで機能することができる。窒化ホウ素も2次元材料で、バンドギャップが非常に高く、実験的には絶縁体として使われることもある。

しかし、こうした2Dトランジスタの問題点のひとつは、金属酸化物を接着しても十分に絶縁できないことである。その結果、リーク電流が発生し、トランジスタは動作不能となる。石炭は、グラフェンと窒化ホウ素のトランジスタを絶縁する能力がはるかに高く、トランジスタの極めて平坦な表面を適切に絶縁できることがわかった。金属酸化物では不可能な偉業なのである。

石炭絶縁体の研究開発はまだ初期段階にある。それでも現在、グラフェンと窒化ホウ素の2Dトランジスタを絶縁できる唯一の材料であることが判明しており、使い道がないと思われた石炭には明るい未来が見えている。また、豊富な資源量、製造の容易さ、豊富なナノ構造など、他にもいくつかの利点があり、将来的には半導体製造の理想的な材料となるだろう。


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