中国の半導体メーカーであるPhytiumは、次世代の高性能CPUを発表した。同社によれば、この新たなCPUはAMDのZen 3と同等の性能を有するとのことだ。
Phytiumは恐らく多くの人が(筆者も)初めて聞いたことがあるかも知れないが、創業から10年近く経つ同社は中国市場においては一定の認知度を有する。元々は古いSPARC命令セットを用いていたが、後に高性能を目指してArmアーキテクチャに移行した。
Phytiumは世代ごとに目立つ進歩を遂げており、今後数年で決定的な進出を果たす計画である。現在、サーバーアプリケーションからデスクトップ、組み込み製品に至るまで、三つの異なる産業領域に焦点を当てている。最近では、2023年の集積回路アプリケーションイノベーションフォーラムで、市場での競争力を高めるための今後の開発方針を明らかにした。
同社が公式に発表した性能データによれば、次世代CPU「FTC870」の開発が進行中であり、前世代の「FTC860」に対して20%の性能向上があるとされる。このCPUは、サーバーCPUで広く用いられるSPEC CPU2017アプリケーションでベンチマークテストが行われ、ArmのNeoverse N1と比較しても遜色なく、Neoverse N2とも一部の競り合っているとのことだ。
特に注目すべきは、このチップがAMDのZen 3 CPUとも競り合っている点である。クロック周波数が3GHzのFTC870は、4GHzで動作するAMD EPYC 7443に迫る性能を持っているという。また、浮動小数点テストではArmのNeoverse N2を上回り、整数ベンチマークでも非常に近い結果を出している。
これが事実であれば、長らく最先端のコンポーネントから遠ざかっていた中国のサーバー市場にとって、画期的な事になるだろう。厳しい米国の制裁が皮肉にも中国の「自前主義」の成長を促しており、PhytiumのFTC870はその最たる例といえる。AMDは既に更に高性能なZen 4アーキテクチャを昨年から採用しているが、中国メーカーの開発スピードは制裁下にあっても予想以上に早い。今後数年で急成長が予想される中国のサーバー市場において、Phytiumのアーキテクチャがどのように受け入れられるかが注目される。
Sources
コメントを残す