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中国の科学者たちが、超伝導特性を持つ希土類元素を含む、これまで見たこともない種類の鉱石を発掘した事が伝えられている。

South China Morning Post紙によると、この新たな鉱石(Niobobaotite)はニオブ、バリウム、チタン、鉄、塩化物からなる。柔らかく延性のある遷移金属であるニオブは、鋼鉄の製造に使われていると同時に、低温で電流を流すことができる超伝導体としても高く評価されており、粒子加速器やその他の先端科学機器にも使われている。また、リチウムイオン電池よりも安全で充電が早いバッテリーの開発にも繋がる可能性があるとして、ニオブを用いたバッテリーの開発が行われている。

中国が現在ニオブの95%を輸入していることを考えると、この発見は中国だけでなく、競争の激しい世界のバッテリー市場全体にとって非常に大きな意味を持つかもしれない。

中国核工業集団公司(CNNC)によれば、この茶褐色の鉱石は、この鉱床で発見された17番目の新しいタイプであり、この地域で発見された150の新しい鉱物のひとつであるとのことだ。

シンガポール国立大学のAntonio H. Castro Neto教授(電気・コンピューター工学)は、SCMPの取材に対し、「中国が鉄鋼業で使用するニオブのほとんどは輸入品であるため、この発見は中国にとって重要である。このニオブの量と質によっては、中国の自給自足が可能になるかもしれない」と語った。

新たな充電池によりパワーバランスが傾くか

リチウムイオン電池は発火しやすく、充電に何時間もかかる。

こうした問題に対処するため、研究者たちはニオブ-リチウム電池やニオブ-グラフェン電池の開発に取り組んでいる。

S&P Globalによると、これらの電池はリチウムイオン電池に比べ、火災のリスクを減らすことができるという。ニオブ-リチウム電池は、従来のリチウム電池よりも充電速度が速く、充電回数も多いとのことだ。

5月、ニオブ-グラフェン電池を開発しているNUSの先端2次元材料センター(CA2DM)の研究者たちは、この電池はリチウムイオン電池の10倍にあたる約30年持ち、10分未満でフル充電できると発表した。

SCMPによれば、今回中国で発見されたニオブ鉱床は内モンゴルのバヤンオボ鉱区で発見されたもので、同国の国営原子力監督部門である中国核工業集団公司は、この鉱石が国際鉱物学会の分類委員会から正式な承認番号を受けたとしている。

2022年の米国地質調査所によると、ブラジルは世界最大のニオブ輸出国で、報告書の時点で世界のニオブ市場の70%弱を占めている。一方、カナダは世界のニオブの約30%を輸出しており、アメリカはネブラスカ州に最初で唯一のニオブ鉱山の開設を計画している。中国がブラジルのニオビウムのトップバイヤーであることは、この調査でも報告されている。

新たに発見されたニオブ含有鉱石に含まれるニオブが本当に高品質であれば、世界最大のニオビウム輸入国が突如として世界最大のニオブ貯蔵国になる可能性がある。


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