2023年という1年は、記録が始まって以来、地球上で最も暑い年となり、前回の記録更新年を大幅に上回った事が、2つの機関による独立した報告から明らかになった。
Copernicus Climate Change Serviceは、2023年の世界平均気温は、19世紀の産業革命前の水準より1.48℃高く、1991年から2020年の平均より0.60℃高かった事を報告している。
Copernicus Climate Change ServiceのSamantha Burgess副所長は「2023年の気温は、少なくとも過去10万年間のどの時期も上回っている可能性が高い」と述べている。
だが、平均気温だけではなく、いくつかの記録で2023年は不名誉な新記録を作っている:
- 2023年は、すべての日の世界平均気温が産業革命以前より1℃以上高くなった最初の年だった。
- 2023年のほぼ半数の日は、1850年から1900年の産業革命前と比べて1.5℃以上暖かかった。
- 初めて、11月の2日間が1850年から1900年の水準より2℃以上暖かかった。
- 2023年7月と8月は記録的な暖かさとなった。
- 平均気温は、全海洋流域と全大陸(オーストラリアを 除く)の大部分で、観測史上最も高いか、それに近い 水準となった。
- 気候変動を引き起こす最も顕著な温室効果ガスの2つである二酸化炭素とメタンの大気中濃度は、2023年に記録的なレベルに達し、それぞれ100万分の419と10億分の1902に達した。
また、NASAによる毎年恒例の世界気温レポートによれば、2023年は1880年の観測開始以来最も暑い年になったとのことだ。昨年の世界の気温は、NASAの基準期間である1951年から1980年の平均を摂氏約1.2度上回ったという。1880年代と比較すると、2023年の地球は2.5度暖かいとのことだ。
「NASAとNOAAの世界気温報告書は、昨年世界中の何十億もの人々が経験したことを裏付けています。猛暑から山火事、海面上昇に至るまで、我々の地球は変化している。しかし、Biden大統領とアメリカ中の地域社会は、気候リスクを軽減し、地域社会がよりレジリエントになるよう、これまで以上に行動を起こしています。NASAは、私たちの宇宙という有利な立場を利用して、すべての人々が理解しやすく、アクセスしやすい重要な気候データを地球に戻し続けます。NASAとバイデン-ハリス政権は、この世代のために、そして次の世代のために、私たちの故郷である地球とその人々を守るために働いています」と、NASAのBill Nelson長官は声明の中で述べている。
2023年には、2022年1月のハンガ・トンガ・ハアパイ海底火山の噴火による大気中の火山性エアロゾルなど、実際に気温を少し下げる働きをした冷却イベントがいくつかあったことも注目に値する。だが、それとともに2023年はエルニーニョの年でもあった。エルニーニョとは、エルニーニョ-南方振動(ENSO)サイクルのひとつで、地球の気温が上昇する現象である。これは非常に複雑な自然現象であり、赤道付近の太平洋の気温が上昇し、地球の他の地域に影響を及ぼすことと密接な関係がある。
だが、もちろんそれだけではない。2023年に見られた温暖化の主な原因のひとつは、化石の燃焼や工業的農業、その他の人間活動によって大気中の温室効果ガス濃度が上昇したことであると、Goddard Institute for Space Studies(GISS)のGavin Schmidt所長は述べている。
「温室効果ガスの排出量が増え続ける限り、私たちは記録を更新し続けるでしょう。そして残念なことに、この1年でまた温室効果ガス排出量の新記録を打ち立てたばかりです」と、Schmidt所長は語っている。
Sources
- Copernicus Climate Change Service: Copernicus: 2023 is the hottest year on record, with global temperatures close to the 1.5°C limit
- NASA: NASA Analysis Confirms 2023 as Warmest Year on Record
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